JAK阻害剤ウパダシチニブ、中等症から重症の活動期クローン病の治療薬として適応追加を申請
アッヴィ合同会社は8月10日、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤ウパダシチニブ水和物(以下、ウパダシチニブ)について、既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期クローン病(CD)の寛解導入、および維持療法の治療薬として適応追加承認を申請したと発表しました。
クローン病は、10代~20代で発症するケースが多く、口腔から肛門までの消化管のすべての部位に炎症や潰瘍が起こる疾患。日本国内における患者数は約4万人と年々増加傾向にある指定難病です。進行性の病気であり、時間経過とともに悪化しますが、症状や兆候を予測することが難しく、患者さんには精神的・身体的負担がかかります。そのため、早期に治療を開始し、症状をコントロールし、症状が落ち着いている状態を維持することで、患者さんのQOL(生活の質)を高めることができます。しかし、現在の治療法では、初期治療が奏功しない一次無効や、治療奏功後に時間の経過と共に効果が減弱する二次無効となる患者さんも存在します。
アッヴィは、このようなアンメット・メディカル・ニーズに応えるため、ウパダシチニブのクローン病に対する開発に着手し、今回、適応追加承認を申請。注射など従来の非経口投与の生物学的製剤で治療を行っている患者さんに対しては、1日1回投与の経口剤として、患者さんの負担を軽減する新たな治療選択として期待されます。
なお、今回の申請は、日本人の患者さんを含む複数の国際共同試験データから得られた結果に基づくもので、1日1回45mgを投与する寛解導入療法試験では12週時において、1日1回15mgまたは3mgを投与する維持療法試験では52週時において、プラセボ群と比較してウパダシチニブ群で有意に多くの患者さんが、主要評価項目である臨床的寛解および内視鏡的改善を達成。これらの試験におけるウパダシチニブの安全性に関する結果は、これまでに確認されたウパダシチニブの安全性プロファイルと一致し、安全性に関する新たなリスクは認められませんでした。