筋肉の修復と進行性骨化性線維異形成症(FOP)の骨化を制御する新たな免疫細胞を特定
金沢大学ら研究グループは3月2日、筋肉の再生を誘導するマクロファージ集団の同定に成功したと発表しました。
今回、研究グループは、特定されたマクロファージを「骨格筋修復型マクロファージ( Mrep:エムレップ)」と名付けました。Mrepは、健常者においては損傷を受けた筋肉の修復に重要な役割を果たします。筋肉が傷つくとMrepが集まり、アクチビンAという分子を大量に産生し、筋肉の元となる幹細胞に働きかけて再生を促します。一方で、筋肉などの軟部組織が徐々に骨に変わってしまう進行性骨化性線維異形成症(FOP)においては、このMrepが悪影響を及ぼすことが判明しました。

進行性骨化性線維異形成症(指定難病272、FOP)は日常の些細な外傷などが引き金となり全身の骨化を進行させる極めて重篤な疾患であり、現在根本的な治療法は確立されていません。進行性骨化性線維異形成症(FOP)のマウスモデルを用いた実験では、外傷をきっかけに集まったMrepが作り出すアクチビンAが、異常な骨を作る指令を出してしまうことが確認されました。通常は筋肉を治す味方である細胞が、病的な環境下では異所性骨化を誘導する悪玉細胞として働いてしまうことが突き止められました。
さらに、進行性骨化性線維異形成症(FOP)のマウスにおいて、マクロファージがアクチビンAを作れないようにしたり、特定の阻害剤を投与したりすることで、進行性骨化性線維異形成症(FOP)における異所性骨化を食い止められることが明らかになりました。


以上の研究成果により、筋肉の修復に不可欠な新しいマクロファージ集団Mrepの存在が明らかになりました。Mrepを標的とする制御法が筋肉の再生療法だけでなく、進行性骨化性線維異形成症(FOP)に対する新たな治療法の開発に活用されることが期待されます。
なお、同研究の成果は、国際科学誌「Journal of Clinical Investigation」に3月2日付で掲載されました。
