フェニルケトン尿症治療薬JNT-517のグローバルフェーズ3試験を開始
大塚製薬株式会社およびその米国子会社であるOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization(OPDC)社は2025年12月19日、フェニルケトン尿症(PKU)の治療薬候補化合物である「JNT-517(一般名:repinatrabit)」について、グローバルフェーズ3試験(PheORD試験)を開始したと発表しました。
フェニルケトン尿症(指定難病240、PKU)は、世界で年間約24,000人に1人の割合で発症すると推定されている遺伝性の疾患です。必須アミノ酸であるフェニルアラニンをチロシンに変換する酵素の働きが生まれつき弱いことなどが原因で発症する先天性のアミノ酸代謝異常症であり、血液中にフェニルアラニンが蓄積することで脳の発達や機能に悪影響を及ぼすとされています。現在、食事中のタンパク質を制限する食事療法や薬物療法などが行われていますが、血中のフェニルアラニン濃度を十分に管理できないケースもあり、より有効な新しい治療の選択肢が求められています。
JNT-517は、大塚製薬の完全子会社である米ジュナナ社が創製した開発中の経口低分子化合物であり、腎臓におけるアミノ酸の再吸収を制御するタンパク質の機能を阻害する作用を持ちます。これまでのフェーズ1b/2試験の中間解析データによれば、疾患の重症度や既存治療への反応性に関わらず、投薬後1週間から血中フェニルアラニンの低下効果が確認されました。150mgを1日2回投与した群では、投与2週間から4週間後の血中フェニルアラニン平均値が投与前より約60%低下し、重篤な有害事象も見られず安全性も確認されています。
今回の試験では、フェニルケトン尿症(PKU)の患者さんを対象に同剤を1日2回経口投与し、その有効性や安全性、忍容性を評価するとしています。すでに米国では最初の患者登録が開始されており、今後は日本を含む複数の国で実施される予定です。
同化合物は、米国食品医薬品局(FDA)からオーファンドラッグ指定および小児希少疾患医薬品指定を取得しているほか、欧州医薬品庁(EMA)からもオーファンドラッグ指定や優先医薬品指定(PRIME)を受けています。
OPDC社の上級副社長兼医学責任者John Kraus氏はプレスリリースにて、「タンパク質摂取量を厳格に制限する食事療法や薬物治療を行っても、多くのPKU患者さんはフェニルアラニンの管理に課題を抱え続けており、実行機能障害、気分調節障害、その他の精神健康上の問題といった症状に直面しています。また、食事制限に関する社会的孤立感や偏見など、社会的・情緒的な課題もあります。私たちは、世界中のPKU患者さんの未解決なニーズに取り組み、治療の画期的な進展に貢献すべく尽力してまいります」と述べています。
