C4Uと京大iPS細胞研究所(CiRA)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療法に対する新規共同研究を開始
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は12月2日、独自のゲノム編集技術であるCRISPR-Cas3技術の社会実装を目指すC4U株式会社と、「CRISPRゲノム編集技術によるデュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する治療法の研究開発」を目的とした共同研究契約を新規に締結したと発表しました。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、骨格筋の進行性萎縮を主病変とする国の指定する難病のひとつです。この疾患は、ジストロフィン遺伝子の変異により、ジストロフィンというタンパク質が体内で作られず、
ィン遺伝子の変異により、ジストロフィンというタンパク質が体内で作成らされず、徐々に筋力が低下します。幼児期(3~5歳ごろ)から症状が出始める重篤なタイプであり、主に男児にみられますが、未だ根治療法が存在しないため、患者さんやご家族からは治療薬の開発が強く切望されています。
C4Uが持つCRISPR-Cas3技術は、国産で独自のゲノム編集技術であり、現在広く利用されているCRISPR-Cas9に対抗し得る有望なツールとして注目を集めています。この技術は、オフターゲット変異(狙った部分以外の変異)が認められておらず、高い安全性が期待できることや、ターゲット遺伝子とその周辺を広く削ることができる特徴を持っています。これにより、疾患原因となる遺伝子変異を含む領域を大きく削除することを得意としています。
C4Uと京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の堀田研究室は2020年1月からiPS細胞を用いたCRISPR-Cas3技術の共同開発研究を進めてきましたが、今回の新規契約により、さらなる応用展開として具体的な疾患治療法を目指した研究開発を実施します。なお、堀田研究室は、ゲノム編集酵素を骨格筋へと効率的に送り届ける送達技術の研究開発を、武田薬品工業株式会社との共同研究プログラム「T-CiRA」で2016年から継続して実施しており、これらの成果も今後の共同研究に活かされる見込みです。また、並行して、C4Uと武田薬品との間において2023年から2024年にかけて共同研究を実施しており、これらの成果も含めて今後の共同研究に活かしていく予定です。
同共同研究の開始について、堀田秋津准教授はプレスリリースにて、「この度、C4Uと筋ジストロフィー治療薬開発を目指した新規共同研究契約が締結できたことを大変嬉しく思います。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは未だ根治療法が存在せず、生命を脅かす重篤な疾患であるため、患者さんやご家族からも治療薬の開発が切望されています。我々が持つ患者由来iPS細胞を用いた評価系および骨格筋への送達技術と、C4Uが持つ国産のCRISPR-Cas3技術を組み合わせることで、新しいシナジーを生み出せることを期待しています」と述べています。
また、C4Uの平井昭光代表取締役は、「CiRA堀田研究室との新たな共同研究により、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療法の研究開発を進められることとなり、改めて身の引き締まる思いです。ゲノム編集技術を用いることで、新たな根治治療を実現できるよう、これまでの成果も活かしてCiRA堀田研究室との共同研究を進めてまいります。筋ジストロフィーは希少疾患ですので、このような領域を得意とする製薬企業との将来の協業も視野に入れていきたいと考えています」と述べています。
