IgA腎症治療薬候補メザギタマブが希少疾病用医薬品に指定
武田薬品工業株式会社は11月28日、完全ヒト免疫グロブリンG1モノクローナル抗体であるメザギタマブ(開発コード:TAK-079)が、IgA腎症を予定される効能又は効果として、厚生労働大臣より希少疾病用医薬品の指定を取得したと発表しました。
IgA腎症(指定難病66)は、腎臓の糸球体に免疫グロブリンのIgAというタンパク質が沈着することにより引き起こされる病気です。血尿や蛋白尿が認められ、病態が進行すると末期腎不全に至る可能性があり、その際には透析や腎臓移植などの腎代替療法が必要となります。この病気は10歳から30歳の若年層に多く診断される、生涯にわたって進行する自己免疫疾患であり、腎機能に不可逆的な障害をもたらします。IgA腎症の既存の治療法では、診断から10年以内に約5人に1人の患者さんが腎不全を発症するとされており、予後は不良となることがあります。
メザギタマブは、IgA腎症の病因に関与するガラクトース欠損型(Gd-)IgA1と呼ばれる異常タンパク質を産生する細胞を減少させることにより、病態進行の上流過程を標的とする薬剤です。同剤は、形質細胞や形質芽細胞など、CD38を高発現する細胞を減少させる作用を持ちます。これにより、免疫複合体の形成を抑制し、炎症を軽減させる結果、蛋白尿が減少し、長期的な腎機能の安定化が期待されています。現在、メザギタマブは、原発性IgA腎症および慢性一次性免疫性血小板減少症の治療薬として第3相臨床試験が実施されています。
