ビルベイ、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)に伴うそう痒の適応で承認を取得
IPSEN株式会社は9月19日、ビルベイ(オデビキシバット)について、「進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)に伴うそう痒」を効能又は効果として厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表しました。
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)は、胆汁酸が肝臓に蓄積することで進行性の肝障害を引き起こし、最終的に肝不全に至る可能性がある希少な遺伝性疾患の総称です。この疾患は、重度のかゆみ(そう痒)をはじめとする衰弱性の症状を伴い、掻きむしりによる皮膚損傷、睡眠障害、易刺激性、認知機能や社会的発達の遅延などを引き起こすことで、患者さんの生活の質を著しく損ないます。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)にはPFIC1型、PFIC2型、PFIC3型があり、日本国内で推定100人が罹患しているとされています。
ビルベイは、回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤(IBATi)として承認された経口投与薬であり、1日1回経口投与することで、肝臓内の胆汁酸蓄積を低下させます。
今回の承認は、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)を対象とした世界最大規模の第III相試験であるPEDFIC試験の結果に基づいたものです。PEDFIC1試験では、ビルベイによる治療を受けた小児において、そう痒の重症度と肝バイオマーカーが有意に改善されました。ビルベイは概ね良好な耐容性を示し、薬剤関連の重篤な有害事象は認められず、下痢が9.5%(PEDFIC1試験)、12.1%(PEDFIC2試験)で報告されています。
IPSENはプレスリリースにて、「日本におけるビルベイの製造販売承認は、希少肝疾患の患者さんの生活の質向上に向けた当社の取り組みにおける重要な節目となります。この承認により、PFICと共に生きる乳幼児、小児、成人の方々に対し、新たな外科的介入を伴わない治療選択肢が提供されます。特にそう痒をはじめとした負担の大きい症状の有意義な緩和に貢献することを願っております」と述べています。
また、近畿大学奈良病院小児科の近藤宏樹医師はビルベイの承認について、「PFICでは、症状管理と肝機能維持のため、早期診断と早期介入が極めて重要です。ビルベイの承認は、患者と介護者にとって、かゆみを軽減し、かゆみによる夜間の睡眠妨げを緩和し、さらには肝機能の維持も期待できるという点で、治療の新たな選択肢となりうると考えます」と述べています。