【米】免疫性血小板減少症(ITP)治療薬Wayrilzが初のBTK阻害薬として承認を取得
仏サノフィ社は8月29日、Wayrilz(リルザブルチニブ)が米国食品医薬品局(FDA)により、既存治療で効果不十分な持続性または慢性の免疫性血小板減少症(ITP)成人患者さんに対する治療薬として承認されたと発表しました。
免疫性血小板減少症(指定難病63、ITP)は、免疫異常により血小板の数が減少し、出血しやすくなる疾患です。
Wayrilzは、免疫系の多様な経路を標的とする多面的な免疫調節作用で免疫性血小板減少症(ITP)の病態に働きかける経口BTK阻害剤です。米国では約2万5000人の成人免疫性血小板減少症(ITP)患者さんが改善を見込めるとされます。WayrilzはFDAから免疫性血小板減少症(ITP)治療薬としてファストトラック審査・オーファンドラッグ指定を受け、日本・EUでもオーファンドラッグ指定されています。現在、EU・中国で審査中であり、アラブ首長国連邦では既に承認済みです。
今回の承認は、ピボタルLUNA3第III相試験の結果に基づいたものまです。同試験では、血小板数の持続的改善と免疫性血小板減少症(ITP)症状の緩和が確認されました。25週時、Wayrilz群の23%で持続的血小板反応が見られ、プラセボ群の0%に対し有意差(p<0.0001)が示されています。血小板反応までの期間は36日、健康関連QOLスコアもWayrilz群で改善が見られました。主な副作用(発現率10%以上)は下痢、悪心、頭痛、腹痛、COVID-19です。
サノフィ社のエグゼクティブ・バイスプレジデントで、スペシャルティケアヘッドのブライアン・フォード氏はプレスリリースにて、「Wayrilzは、従来薬とは異なる作用機序を持ち、これまでの治療では効果が得られなかった免疫性血小板減少症の患者さんの治療選択肢となる可能性があります。本剤がその多面的な免疫調節作用を通じて、免疫性血小板減少症の根本的原因にアプローチすることは、未だ満たされていない患者さんのニーズに応えるために治療手段を適応・進化させようとするサノフィの取り組みと合致するものです。今回の承認は、希少疾患と免疫関連疾患との接点におけるサノフィの専門性と熱意がもたらしたものといえます」と述べています。
また、マサチューセッツ総合病院血液科部長兼ハーバード大学医学部内科教授で、試験報告書の著者であるデビッド・クーター医師は、「免疫性血小板減少症の従来の管理法は、血小板数の正常化、出血リスクの低減を主目的とするものでしたが、一部の患者さんにおいては十分な効果が得られない、症状が持続する、治療に伴う重度な合併症が生じることがありました。多面的な免疫調節作用をもたらすWayrilzは、ステロイド治療が無効な患者さん、既存治療で十分な効果が得られない患者さんにとって新たな治療選択肢となります」と述べています。