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神経線維腫症1型(NF1)の症候性かつ手術不能な叢状(そうじょう)神経線維腫(PN)に対する治療薬コセルゴの適用拡大承認を取得

アレクシオンファーマ合同会社は8月25日、「コセルゴ カプセル」(一般名:セルメチニブ硫酸塩)」が、神経線維腫症1型(NF1)の症候性かつ手術不能な叢状(そうじょう)神経線維腫(PN)に対する、成人用法用量追加の承認をで取得したと発表しました。これにより、これまで小児患者さんを対象に2022年から日本国内で承認されていたコセルゴが、神経線維腫症1型(NF1)に伴う叢状神経線維腫(PN)に苦しむ成人患者さんにも利用可能となります。

神経線維腫症1型(指定難病34、NF1)は、遺伝子変異によって発症する希少な進行性の遺伝性疾患です。通常、幼児期に診断され、脳、脊髄、神経などあらゆる臓器に影響を及ぼし、非悪性腫瘍の増殖が見られることがあります。叢状神経線維腫(PN)は、神経線維腫症1型(NF1)患者さんの30~50%に見られる神経鞘の腫瘍で、外観上の変形、運動機能障害、痛み、気道の障害、視力障害、膀胱や腸の機能障害といった様々な病状を引き起こす可能性があります。叢状神経線維腫(PN)は幼児期に発症し、重症度は様々であり、神経線維腫症1型(NF1)患者さんの平均寿命が最長で15年短くなる可能性も報告されています。

コセルゴは、細胞増殖の促進に関与する特定の酵素(MEK1およびMEK2)を阻害するキナーゼ阻害剤です。神経線維腫症1型(NF1)患者さんではこれらの酵素が過剰に活性化されることで、腫瘍細胞の制御不能な増殖が起こり、PNが出現しますが、コセルゴはこれらの酵素を阻害することでPNの増殖を抑制するとされています。コセルゴは、米国、EU、日本、その他の国で、神経線維腫症1型(NF1)の治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けています。

今回の成人用法用量追加承認は、成人神経線維腫症1型(NF1)の症候性かつ手術不能な叢状神経線維腫(PN)患者さんを対象とした国際共同第III相臨床試験であるKOMET試験の肯定的な結果に基づいたものです。KOMET試験は、この患者集団を対象とした最大規模かつ唯一のプラセボ対照試験であり、その結果は2025年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表され、The Lancet誌に掲載されました。

名古屋大学医学部附属病院リハビリテーション科教授であり、日本レックリングハウゼン病学会の理事長でもある西田佳弘医師はプレスリリースにて、「PNを有するNF1の成人患者さんは、持続性または突発性の痛み、臓器機能不全、外観上の変形等、PNによる大きな負の影響に直面することがあり、これらは患者さんを身体的にも精神的にも消耗させます。今回の承認により、国内で小児の治療に使用されてきた『コセルゴ』の対象が成人に拡大されることにより、成人患者さんにも初めて疾患の病態を標的とする治療を提供できることになります」と述べています。

また、アレクシオンファーマの濱村美砂子社長は、「NF1患者さんにおけるPNは、成人でも悩まされることが多いにもかかわらず、小児期を過ぎた患者さんの治療選択肢は限られてきました。NF1PNを有する特定の小児に対し初めて承認された治療薬として10年を超える開発および実臨床での使用実績と、NF1 PN の成人を対象とした国際治験として最大規模のKOMET試験の結果に基づき、『コセルゴ』が成人患者さんの主要な治療目標を達成する見込みが示されました。成人を対象とする今回の承認は、NF1という生涯にわたる疾患をもつ幅広い年代の患者さんの治療に対する当社の取り組みを前進させるものです」と述べています。

出典
アレクシオンファーマ合同会社 プレスリリース

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