【欧州】原発性胆汁性胆管炎(PBC)に関連する胆汁うっ滞性そう痒症に対する治療薬リネリキシバット、EMAが販売承認申請を受理
英GSK社は6月23日、まれな自己免疫性肝疾患である原発性胆汁性胆管炎(PBC)に関連する胆汁うっ滞性そう痒症(持続的な強いかゆみ)を持つ患者さんの治療薬として開発中の「リネリキシバット」について、欧州医薬品庁(EMA)が販売承認申請(MAA)を受理したと発表しました。
原発性胆汁性胆管炎(PBC)に伴う胆汁うっ滞性そう痒症は、肝臓からの胆汁の流れが障害されることで循環血中に過剰な胆汁酸が生じ、皮膚を掻いても軽減しない体の中から生じるかゆみを引き起こすと考えられています。このそう痒症は、原発性胆汁性胆管炎(PBC)患者さんの最大90%がさまざまな程度の重症度で経験すると報告されており、睡眠障害、疲労、生活の質の低下を招く深刻な影響を及ぼし、時には肝移植が必要となる可能性も示唆されています。現在、原発性胆汁性胆管炎(PBC)に対する一次治療では、このかゆみの重症度や生活への影響を軽減することはできないとされています。
リネリキシバットは、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)という標的を阻害し、原発性胆汁性胆管炎(PBC)というまれな自己免疫性肝疾患でみられる胆汁うっ滞性そう痒症を治療できる可能性がある経口薬として開発が進められています。同剤は、胆汁酸の再吸収を阻害することにより、循環血中のさまざまな起痒物質を減少させると考えられています。
今回の申請は、胆汁うっ滞性そう痒症を有する238人の原発性胆汁性胆管炎(PBC)患者さんを対象とした第III相試験「GLISTEN」の良好な結果に基づいたものです。GLISTEN試験では、プラセボ群と比較して、かゆみとそれに関連する睡眠障害に対し、迅速かつ有意で持続的な改善が示され、主要評価項目と主な副次評価項目が達成されました。また、リネリキシバットの安全性プロファイルは、これまでの試験やIBAT阻害のメカニズムから想定されたものと一致していました。
GSKのシニアバイスプレジデント兼呼吸器・免疫・炎症部門R&Dグローバルヘッドであるカイヴァン・カヴァンディ氏はプレスリリースにて、「EMAによる本申請の受理は、今月初旬の米国食品医薬品局(FDA)による申請受理に続き、リネリキシバットの開発において重要な進展となります。PBCに関連する持続的な強いかゆみは睡眠障害につながることが多いですが、現在、治療の選択肢は非常に限られています。リネリキシバットは、これらの症状に苦しむ患者さんの生活に変化をもたらす可能性があると信じています」と述べています。
なお、リネリキシバットは、米国食品医薬品局と欧州医薬品庁により希少疾病用医薬品に指定されており、日本では2025年6月27日に希少疾病用医薬品の指定を受けています。現在、世界のどの国・地域でも承認には至っていませんが、米国と英国で承認審査が進められています。