リンヴォック、巨細胞性動脈炎に対する適応追加承認を取得
アッヴィ合同会社は6月24日、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤のリンヴォック錠(一般名:ウパダシチニブ水和物)について、既存治療で効果不十分な巨細胞性動脈炎の成人患者さんに対する治療薬として、日本における適応追加承認を取得したと発表しました。
巨細胞性動脈炎(指定難病41、GCA)は、側頭動脈などの頭部の動脈や大動脈、その他の大型・中型の動脈などに炎症を引き起こす自己免疫疾患のひとつであり、指定難病に定められています。この疾患は一般的に50歳以上で発症し、特に70代で多く見られます。また、女性患者さんの数は男性患者さんの約2~3倍とされています。主な症状としては、頭痛や顎の痛み、そして突発的かつ永久的な視力消失を含む視力の変化などが挙げられます。
リンヴォックは1日1回投与の経口剤です。今回の承認取得により、リンヴォックは日本において8番目の適応症を得たことになります。これまでに、関節リウマチ、乾癬性関節炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、クローン病の治療薬として承認されています。
現在、巨細胞性動脈炎の治療は副腎皮質ステロイドを中心に行われていますが、患者さんの約30~50%で症状が再度悪化することがあります。長期にわたるステロイド治療は、さまざまな副作用や合併症を引き起こす可能性があり、慎重な治療が求められます。また、既存治療で効果が不十分な場合、失明や大動脈瘤、動脈の狭窄や解離、脳梗塞、心筋梗塞などを発症するおそれがあります。
アッヴィは、このような状況にある巨細胞性動脈炎の患者さんのために、ウパダシチニブの開発を行ってきたとしています。今回の承認により、巨細胞性動脈炎の患者さんに対し、新たな治療選択肢が提供されることとなります。
なお、今回の承認は、日本を含む国際共同第III相試験であるSELECT-GCA(M16-852)試験の結果に基づいたものです。