1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. リツキサン、小児の頻回再発型・ステロイド依存性ネフローゼ症候群への適応追加の承認を取得

リツキサン、小児の頻回再発型・ステロイド依存性ネフローゼ症候群への適応追加の承認を取得

全薬工業株式会社と中外製薬株式会社は3月27日、両社で共同販売している抗CD20モノクローナル抗体「リツキサン点滴静注100mg、同500mg(一般名:リツキシマブ(遺伝子組換え))」について、製造販売業者である全薬工業が、小児期に発症した難治性に至っていない頻回再発型あるいはステロイド依存性のネフローゼ症候群に対する適応追加の承認を厚生労働省より取得したと発表しました。

ネフローゼ症候群は、腎臓を構成するネフロンにおける糸球体スリット膜の障害により、大量のタンパク尿と血液中のアルブミン濃度低下が起こり、全身にむくみが生じる病気の総称です。小児期に発症する特発性ネフローゼ症候群は、原因不明の小児慢性腎疾患として最も多く見られます。そのうち、約8割から9割はステロイド治療により寛解するステロイド感受性ネフローゼ症候群ですが、その約半数は、ステロイド治療後も比較的短い期間で再発を繰り返す頻回再発型ネフローゼ症候群、またはステロイドを減量・中止すると再発するステロイド依存性ネフローゼ症候群に分類されます。

頻回再発型あるいはステロイド依存性ネフローゼ症候群の治療においては、ステロイドの長期使用による副作用を軽減するために免疫抑制薬が用いられることが推奨されています。しかし、免疫抑制薬を使用しても再発を繰り返したり、ステロイドから離脱できず難治化する例や、成人期に移行する患者さんも存在します。また、免疫抑制薬の長期投与による重篤な副作用も問題となっています。

リツキサンは、B細胞という免疫細胞の表面にあるCD20というタンパク質に特異的に結合する抗CD20モノクローナル抗体です。B細胞は、免疫反応において重要な役割を果たしており、ネフローゼ症候群の発症や病状の悪化にも関与している可能性が示唆されています。リツキサンは、患者さん自身の免疫機能を利用してCD20を持つB細胞を排除することで、ネフローゼ症候群に対する治療効果が期待されています。

今回の適応拡大は、難治性に至っていない頻回再発型あるいはステロイド依存性ネフローゼ症候群の患者さんを対象とした医師主導治験の結果に基づいたものです。この治験では、主要評価項目である無再発期間において、リツキシマブ投与群がプラセボ投与群と比較して有意に延長し、リツキシマブによる再発抑制効果が示されました。

有害事象の発現割合は両群で大きな差は見られませんでしたが、副作用の発現割合はリツキシマブ投与群で高い傾向にありました。確認された有害事象および副作用は、これまでに国内外でリツキサンが承認されている他の病気で使用された際に報告されているものと同様でした。この結果を受け、全薬工業は2024年4月26日に製造販売承認事項一部変更承認申請を行い、今回の承認取得に至りました。

全薬工業と中外製薬はプレスリリースにて、「ネフローゼ症候群の治療にリツキサンがさらに貢献できるよう、より一層の協力体制で取り組んでまいります」と述べています。

なお、リツキサンは、これまでにも小児期発症の難治性ネフローゼ症候群のうち、頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合(2014年8月承認)と、ステロイド抵抗性を示す場合(2024年9月承認)を対象に承認されていました。

出典
中外製薬株式会社 プレスリリース

関連記事