筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行速度に関連する細胞とタンパク質を解明
徳島大学は1月28日、武田薬品工業株式会社との共同研究で、血液中の免疫細胞のなかでヘルパーT17 細胞(Th17)やエフェクターCD8 T 細胞といった炎症に関わる細胞と、それらに関連するタンパク質の動態が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行速度に関連していることを初めて明らかにしたと発表しました。
筋萎縮性側索硬化症(指定難病2 、ALS)は、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が徐々にやせて力がなくなっていく疾患です。進行速度は患者さんごとに異なりますが、その要因は未だ解明されていません。
今回の研究では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さん30名と健常者10名を対象として免疫細胞や炎症関連タンパク質の特徴を包括的に解析しました。筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんは、症状の進行速度に基づいて、急速進行型と非急速進行型に分類しました。
解析の結果、急速進行型ALSでは、制御性T細胞と比較してTh17の割合が増加し、ナイーブCD8 T細胞と比較してエフェクターCD8 T細胞の割合が高いことが判明。また、炎症性サイトカインの一種であるインターロイキン17(IL-17)、KLRD1などの炎症関連タンパク質が増加していました。さらにIL-17やKLRD1などは、Th17やエフェクターCD8 T細胞などの免疫細胞と相関していることも分かり、それらの免疫細胞が病態に関与している可能性が示唆されたといいます。
以上の成果について、研究グループはプレスリリースにて「本研究の成果は、ALSの病気のメカニズムの理解を深めます。また、本研究で特定されたTh17、エフェクターCD8 T細胞、IL-17、KLRD1などをもとに、進行に関する血液中のバイオマーカー15)を開発します」と述べています。
なお、同研究の成果は、「Journal of Neuroinflammation」に掲載されました。