ファセンラ皮下注30mgシリンジ/ペン、既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療薬として承認を取得
アストラゼネカ株式会社は12月27日、ファセンラ皮下注30mgシリンジ/30mgペン(一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組み換え))について、既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療薬として日本で承認を取得したと発表しました。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(指定難病45、EGPA)は、極度の疲労、体重減少、筋肉痛および関節痛、発疹、神経痛、副鼻腔症状および鼻症状、息切れなどの症状を特徴とする、小型から中型の血管の炎症によって引き起こされるまれな免疫介在性の炎症性疾患です。肺、上気道、皮膚、心臓、消化管、神経などの複数の臓器に障害を引き起こす可能性があります。治療を行わなければ死に至る可能性もあります。現在の治療法では、患者さんのほぼ半数(47%)が寛解に至っていません。日本では、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者さんの95%が喘息を患い、副鼻腔症状および鼻症状が現れることもしばしばあります。
ファセンラは、米国、EU、日本、中国など、80ヵ国以上で承認されている重症好酸球性喘息の治療薬で、全世界で185,000人を超える好酸球性重症喘息と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の患者さんに処方されています。
今回の承認は、第III相MANDARA試験の結果に基づいたものです。この試験では、再発性または難治性の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者さんを対象にファセンラの有効性および安全性について、承認されている唯一の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)治療薬メポリズマブと比較。MANDARA試験は、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者さんを対象として生物学的製剤を直接比較する初めての非劣性試験であり、4週ごとに、ファセンラ30mgを単回皮下注射する群、またはメポリズマブ100mgを3回皮下注射する群のいずれかに患者さんを無作為に割り付けました。
同試験では、主要評価項目である36週時と48週時の両時点で、ファセンラ投与患者さんの約60%が寛解を達成し、メポリズマブに対する非劣性が認められました。また、データではファセンラ投与患者さんの41%が経口グルココルチコイド(OGCS)を漸減して完全に中止したことも示されました。
アストラゼネカの取締役 研究開発本部長の大津 智子氏はプレスリリースにて、「米国とEUでの承認に次いで、日本でもEGPAに対してファセンラが承認されました。ファセンラは、世界中で多くの好酸球性重症喘息患者さんにベネフィットをもたらしており、今回の承認により、EGPAに苦しむさらに多くの患者さんの治療を向上させる一歩となると期待しています」と述べています。
なお、今回の承認は、2024年9月の米国での好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)に対するファセンラの承認および2024年10月のEUでの承認に続くものです。また、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の承認と同時に、新たな選択肢としてペン型製剤が承認されました。