軟骨無形成症小児患者さんを対象としたボックスゾゴの安全性と有効性を示したRWEの良好な結果を発表
米BioMarin Pharmaceutical社は11月16日、軟骨無形成症小児患者さんを対象としたボックスゾゴ(一般名:ボソリチド)のリアルワールドエビデンス(RWE)の複数の研究から、良好な結果を発表しました。これらの結果は、ボックスゾゴの軟骨低形成症での調査研究プログラムのデータと併せて、2024年11月16~18日に英国・リバプールで開催された第62回欧州小児内分泌学会(ESPE)で発表されました。
軟骨無形成症(指定難病276)は、FGFR3遺伝子の変異によって引き起こされる疾患です。低身長や四肢の短さ、指の短さなどが特徴です。軟骨無形成症の小児患者さんの約80%は平均的な身長の両親を持ち、FGFR3遺伝子の自然発生的な変異の結果として疾患を発症します。
ボックスゾゴは、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)類縁体であり、FGFR3の下流シグナル伝達の正の調節因子として働き、軟骨内骨形成を促進する薬剤です。米国、日本、およびオーストラリアでは、骨端線閉鎖を伴わない軟骨無形成症を適応とし全年齢の小児患者における成長促進を目的として承認されています。
今回の発表では、8カ国30施設で452例の小児を登録したEuropean CrescNetレジストリのうち、軟骨無形成症群のリアルワールドの長期データは、ボックスゾゴの治療転帰が過去の臨床試験の報告と一致していました。登録時の年齢中央値は6.12歳でした。ボックスゾゴを12カ月間投与した患者さん143例の平均身長増加は6.36cmで、軟骨無形成症の参照集団と比較して、身長のZスコアが0.7改善しました。24カ月間投与した患者さん73例の平均身長増加は11.86cmで、同じ参照集団と比較して、身長のZスコアが1.15改善しました。
また、小児患者さん62例を対象としたフランスのリアルワールド研究では、5歳超えの小児患者さん17例(初回投与から18カ月間のデータが利用可能な患者さん)の結果がボックスゾゴの持続的な有効性を示しました。ボックスゾゴを投与した小児患者さんは、平均で8.76cm身長が伸びました。未治療で自然経過の軟骨無形成症患者さん集団との比較では、平均0.56のZスコアの改善、米国の一般集団との比較で0.44のZスコアの改善を示し、未治療の集団と比較した身長の増加を示しています。平均年間成長速度は5.85cm/年で、経時的な成長関連の発達で大幅な改善を示しました。治療中止例はありませんでしたが、長期的な安全性と有効性を引き続きモニタリングする予定だそうです。
BioMarin社のエグゼクティブ バイス プレジデント兼チーフ リサーチ&ディベロップメント オフィサーであるGreg Friberg,M.D.はプレスリリースにて、「これらのリアルワールドデータは、軟骨無形成症の小児や乳児に対して初めて承認を取得した唯一の治療薬であるボックスゾゴの価値をさらに高めるものです。業界を牽引する当社のCANOPY臨床試験プログラムを通じてこれまでに6,000患者年を超える安全性データを収集しており、軟骨低形成症など新たな適応においてボックスゾゴを迅速に開発するための科学的な基盤となっています。新たな適応でも、軟骨無形成症のような成功をおさめたいと考えています」と述べています。