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慢性的な不眠が炎症性腸疾患の悪化に関与する可能性

東北大学の研究グループは8月7日、アンケート調査の結果をもとに炎症性腸疾患患者の慢性不眠の有無を評価し、慢性不眠の有無で2群に分けて経過観察を行い、その後の炎症性腸疾患の治療強化を要した割合を比較した結果を発表しました。

炎症性腸疾患は、慢性的に腸に炎症を起こす疾患で、主に潰瘍性大腸炎(指定難病97)とクローン病(指定難病96)のことを指します。不眠や精神的ストレスなどが病状悪化の一因になると言われてきましたが、実際の確認はできてはいませんでした。

今回、研究グループは、炎症性腸疾患で通院中の患者さんを対象に睡眠に関するアンケート調査を行い、慢性的な不眠状態を有する群と有しない群に分け、その後の炎症性腸疾患の病状の変化を経過観察しました。

画像はリリースより

その結果、慢性的な不眠を有する群は、有しない群に比べて炎症性腸疾患の治療法の変更・強化を必要とした割合が高いことを明らかにしました。炎症性腸疾患の中でも特に潰瘍性大腸炎の患者さんは、慢性的な不眠を有する群は有しない群に比べて、治療変更・強化を要した割合が高いことがわかりました。一方、クローン病の患者さんは、慢性不眠の有無で治療内容の変更・強化を必要とした割合は変わりませんでした。

画像はリリースより

以上の研究成果より、慢性的な不眠が潰瘍性大腸炎の病状が悪化に関与している可能性が示唆されました。慢性不眠を有する潰瘍性大腸炎患者さんに不眠治療を行うことで腸炎悪化を防ぐことが期待されるといいます。

東北大学はプレスリリースにて、「今後は本アンケート調査をさらに拡大し、より多くの患者を対象に同様の検討を行います。また、不眠に対する治療が腸炎の増悪を抑制する効果があるかどうかも調査する予定です」と述べています。

なお、同研究の成果は、炎症性腸疾患に関する専門誌「Journal of Crohn’s and Colitis」オンライン版に7月25日付で掲載されました。

出典
東北大学 プレスリリース

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