【欧州】先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)患者さんにおけるADAMTS13欠乏症の治療薬rADAMTS13の承認を推奨
武田薬品工業株式会社は6月3日、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の小児および成人患者さんのADAMTS13欠乏症の治療薬として、遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)の承認を例外的な状況下において推奨したと発表しました。
先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)は、致死的な急性症状や消耗性の慢性症状を伴う慢性血液凝固異常症で、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)患者さんの5%を占めます。主な症状は、血小板減少症、微小血管症性溶血性貧血、腎症状、脳卒中、腹痛を含む急性症状、消耗性の慢性症状です。未治療のまま経過すると、急性TTPイベントの死亡率は90%を超えるため、早期治療が重要となります。
今回、承認が推奨されたのは、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の治療薬として開発された遺伝子組換えADAMTS13(A disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs 13)酵素補充療法薬です。米国食品医薬品局(FDA)および日本の厚生労働省は、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)患者さんの定期的投与および急性増悪時投与の治療薬として承認されています。
今回の欧州委員会の肯定的見解は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を対象とした初の無作為化、比較対照、非盲検、クロスオーバー第3相試験から得られた有効性、薬物動態、安全性および忍容性データの中間解析を含む包括的エビデンスによって支持されました。本試験のデータはThe New England Journal of Medicine誌に同年5月に掲載されました。
武田薬品のヴァイス プレジデントであり、フランチャイズ グローバル プログラム リーダーであるObi Umeh, M.D., M.Sc.はプレスリリースにて、「cTTPの患者さんは深刻で死に至る可能性のある健康面の課題を抱えており、欧州連合では治療選択肢が限られています。遺伝子組換えADAMTS13に対する今回の肯定的見解により、当社はcTTPに特異的に適用される最初の治療薬をEUの患者さんにお届けできる可能性に一歩近づきました。当社は世界中のより多くの患者さんのためにcTTPに対する標準治療に革新をもたらすことを目指しており、欧州委員会の決定を楽しみにしています」と述べています。
なお、rADAMTS13は、現在進行中の第2b相試験(NCT05714969)で、後天性の血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)である免疫介在性血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)の成人患者さんも対象として研究されています。