発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の経口薬ボイデヤがC5阻害剤との併用薬として世界で初めて発売
アレクシオンファーマ合同会社は4月17日、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として「ボイデヤ」(一般名:ダニコパン、以下「ボイデヤ」)の販売を開始したと発表しました。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、造血幹細胞に異常が生じることにより、赤血球が体の中で壊されやすくなり、貧血やヘモグロビン尿が現れる後天性の疾患です。血栓症を合併し、臓器障害や早期死亡に至る可能性があります。
経口補体 D 因子阻害剤であるボイデヤは、「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を効能または効果とし、C5阻害剤による適切な治療を行っても十分な効果が得られない場合にC5阻害剤のユルトミリス(一般名:ラブリズマブ(遺伝子組換え))またはソリリス(一般名:エクリズマブ(遺伝子組換え))と併用投与されます。
ユルトミリスやソリリスは、補体C5を阻害して終末補体を抑制することで症状および合併症を軽減し、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者さんの生存率への影響が期待される薬剤です。一方、C5阻害剤で治療中の発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者さんのうち、約10~20%は臨床的に問題となる血管外溶血が生じます。ボイデヤはこれらの患者さんのニーズに対応しているといいます。
今回の承認は、国際共同第III相臨床試験(ALPHA試験)から得られた肯定的な結果に基づくものです。
ALPHA試験は、ヘモグロビンが9.5g/dL以下かつ網状赤血球数が120×109/L以上と定義した臨床的に問題となる血管外溶血を示す発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者さんを対象とし、ユルトミリスまたはソリリスにボイデヤを併用した際の有効性および安全性を評価した試験です。
同試験の結果、プラセボ群と比較した投与12週時点のヘモグロビンのベースラインからの変化量という主要評価項目を達成したほか、輸血回避および慢性疾患治療の機能的評価-疲労(FACIT–Fatigue)スコアの変化量を含む「主な副次評価項目」を達成。ボイデヤ錠50mgの新たに発現した安全性と忍容性の懸念は特定されませんでした。今回の試験における最も多く報告された有害事象は、頭痛、悪心、関節痛および下痢でした。
アレクシオンファーマ社長の笠茂公弘氏は「2010年に当社は、いち早くPNHの革新的治療薬を上市・提供してまいりました。このたび、新たな治療選択肢をお届けできることを嬉しく思います。C5阻害剤へ併用投与されるボイデヤは、すでに確立された治療を継続しながら、血管外溶血によるQOL低下を含む症状をもつ一部のPNH患者さんのアンメットニーズに、これらの症状を改善することで応え得る治療といえます。ボイデヤが、これまで以上にPNHをもつ患者さんとそのご家族のより良い生活に寄与できることを願っています」と述べています。
なお、ボイデヤは、日本において厚生労働省から発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者さんの治療に対して希少疾病用医薬品に指定されており、2024年1月18日に発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者さんの治療薬として製造販売承認を取得し、2024年4月17日に薬価収載されました。今回の国内における承認・発売は、世界で初めてです。