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難治性アレルギー疾患で固い粘液が作られるメカニズムを解明、新規治療法への可能性を示唆

秋田大学は2月6日、難治性アレルギー疾患で「固い粘液」ができる仕組みと、新しい治療法につながる方法について明らかにしたと発表しました。

好酸球性副鼻腔炎、アレルギー性副鼻腔真菌症、一部の致死的な喘息や鋳型気管支炎、アレルギー性気管支肺真菌症などのアレルギー性疾患では、固く高い粘性を持つ粘液が生成され、副鼻腔や気管支を閉塞させてしまう特徴があります。このような粘液を除去するためには、手術や内視鏡による粘液の除去が必要となる場合があり、患者さんの身体への負担も大きいことから、世界的にも原因の解明と新しい治療法の開発が期待されていました。

今回、研究チームは、一般的な慢性副鼻腔炎と好酸球性副鼻腔炎の患者さんから得られた粘液を収集し 、物理学的性状(物性)などを検討しました。

その結果、好酸球性副鼻腔炎の粘液は、一般的な慢性副鼻腔炎に比較して、CT画像で高輝度になり、含水量が低く、高い粘性と疎水性を示すことがわかりました。これらの特徴は、粘液中の好酸球由来の蛋白の量と正の関係が認められました。

また、粘液に多く含まれている白血球(好酸球と好中球)は、活性化して死んだ時に細胞外トラップと呼ばれる線維構造を放出することによって、ムチンのような粘性物質がない状態で、細胞だけでも粘液とほとんど同等の特徴を示すことが明らかになりました。

さらに、粘液の粘性に強く影響する好酸球の細胞外トラップの構造を緩くするヘパリンと、線維構造の分解酵素を併用することで、粘性を低下させることが可能だと示しました。

画像はリリースより

以上の研究成果より、難治性アレルギー疾患の病態解明がさらに進展し、診断法や効果的な粘液除去につながる新しい治療法として、今後の臨床応用が期待できるといいます。

なお、同研究の成果は、アレルギーのトップジャーナルである米国科学誌「Journal of Allergy and Clinical Immunology」オンライン速報版に1月3日付で公開されました。

出典
秋田大学 プレスリリース

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