【米国】先天性血栓性血小板減少性紫斑病の予防的治療薬ならびにオンデマンド治療薬ADZYNMA、FDAより承認を取得
武田薬品工業株式会社は、米国時間11月9日、米国食品医薬品局(FDA)により、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の成人および小児患者さんの予防的治療薬ならびにオンデマンド治療薬としてADZYNMA(遺伝子組換えADAMTS13-krhn)の承認を取得したと発表しました。
先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)は、ADAMTS13酵素の欠乏によって生じる超希少かつ慢性の血液凝固障害であり、。血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の患者さんの5%を占めます。また、ADAMTS13の欠乏状態に起因して進行する広範な臓器障害やその他の併存疾患を伴う可能性があります未治療のまま経過した場合、急性血栓性血小板減少性紫斑病の死亡率は90%を超えるといわれています。
ADZYNMAは、欠乏したADAMTS13酵素を補充することによって先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)患者さんのアンメットメディカルニーズに対応するための初めてかつ唯一のFDA承認の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)タンパク質です。
今回の承認は、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)を対象とした初の無作為比較非盲検クロスオーバー臨床第3相試験の有効性、薬物動態、安全性および忍容性データの解析、ならびに継続試験のデータによって提供された包括的エビデンスに基づいたものです。
同試験では、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の患者さんを対象に、1~6か月目(期間1)に40IU/kgのADZYNMA IVの投与または血漿療法を隔週または毎週実施し、7~12か月目(期間2)に代替治療に移行し、13~18か月目(期間3)に全患者さんにADZYNMAを投与しました。
その結果、ADZYNMAの予防的治療中に、急性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の症状が現れた患者さんはいませんでしたが、血漿療法を受けた患者さん38名のうち急性血栓性血小板減少性紫斑病の症状が現れた患者さんが1名いました。
また、期間1・2では、ADZYNMA投与群で亜急性血栓性血小板減少性紫斑病事象は報告されませんでしたが、血漿療法を受けた患者さんのうち4名に5件の亜急性血栓性血小板減少性紫斑病事象が認められました。期間3においては、ADZYNMA予防的治療群の2名の患者さんで2件の亜急性事象が認められました。
血漿療法群の事象発現率は、38名の患者さんのうち19名であったのに対し、ADZYNMA投与群の事象発現率は、37名のうち9名でした。
薬物動態学的評価において、ADZYNMA40IU/kg点滴静注群(n=23)では、血漿療法と比較して、単回点滴静注によりADAMTS13活性が4~5倍に上昇しました。
一方、安全性として、ADZYNMAは血漿療法群と比較して良好な安全性プロファイルを示しました。
ADZYNMA臨床試験治験責任医師であるSpero R.Cataland氏は「この数十年間に、ADAMTS13の欠乏とcTTPとの関連性をより深く理解する上での大きな進歩があり、最終的に、この希少疾患とともに生きる患者さんのための、FDAが承認した治療選択肢を手にするこの瞬間を迎えました。本日の承認は、cTTP患者さんのコミュニティに新たな可能性をもたらす重要な成果です」と述べています。