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“見えざる疾患”視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の現状-アレクシオンがセミナーを開催

アレクシオンファーマ合同会社は7月18日に、メディアセミナー『新たな治療薬の適応追加で変わる「視神経脊髄炎スペクトラム障害」治療の最新動向と展望 ― 視力低下や吐き気、しびれなど身近な症状から始まる、“見えざる疾患”とは ―』を開催。同セミナーに、九州大学大学院医学研究院神経内科学教授の磯部紀子先生、東北医科薬科大学医学部脳神経内科学教授の中島一郎先生が登壇しました。

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は、再発を繰り返す中枢神経系の炎症性自己免疫疾患です。視神経に炎症が起こると、視力低下、視野の欠け、失明などの症状が、脊髄に炎症が起こると、手足のしびれや痛み、麻痺、排せつ障害などの症状が現れます。症状が出る部位や症状の程度は患者さんによって異なります。

患者さんの9割が女性で、30代後半~40代前半に発症する場合が多いですが、高齢になって発症する場合もあります。

周囲のサポートや理解が必要

NMOSDの特徴として、再発を繰り返すことが挙げられます。その頻度や程度は予測困難であり、一度の再発で、失明や手足の麻痺などの障害が残る場合もあるため、再発を繰り返さないように治療を行う必要があります。

また、NMOSDの患者さんは、体調の変動に対する不安や、仕事と治療などのバランスについて悩むことが多く、メンタルヘルスに影響がある場合もあります。そのため、周囲の治療への配慮、症状や障害の特性に合わせた配慮、出産、育児、就労の配慮やサポートなどが重要となります。

磯部紀子先生(提供写真)

磯部紀子先生は「外見から症状がわかりにくいため、周囲の理解が得られにくい。難病の患者さんに対する周囲の理解が必要。また、患者さんと一緒に疾患の治療を決めていくことも重要」と語りました。

診断に重要な抗AQP4抗体

厚生労働省が定めるNMOSDの診断基準には「抗AQP4 抗体陽性NMOSDの診断基準」と「抗AQP4 抗体陰性・未測定のNMOSDの診断基準」の2つがあります。

中島一郎先生(提供写真)

中島一郎先生は「NMOSDの診断には、抗AQP4抗体が陽性ということが重要」だと話しています。

この背景は、抗AQP4抗体により継続的に炎症が引き起こされると脱髄や神経細胞死が引き起こされることがあります。海外のデータでは、抗AQP4抗体陽性のNMOSD患者さんのうち、最大で92.7%の患者さんが再発し、永続的な障害に至ることも少なくないと報告されています。

NMOSDの急性期にはステロイド点滴を行いますが、症状の改善が乏しい場合は、血漿浄化療法を早期に開始します。そして、進行抑制、再発予防には、副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤を投与します。

半数以上が10年間で再発を経験、求められる再発予防

難病は発症から診断名がつくまで、時間を要する場合が多く、できる限り早期に正しい診断を受け、治療を開始することが重要です。また、診断後は身近な医療機関で適切な医療を受ける体制を確保することが重要です。

NMOSDにおいても例外ではありません。NMOSDの早期診断・治療開始のためには、脳神経内科への迅速な紹介が必要です。また、NMOSDは、再発の時期や程度は予測不能で、免疫抑制療法を行っても、半数以上が10年間で再発を経験しているといわれています。そのため、再発ゼロを目標とした治療効果のある再発予防が求められています。

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