ユルトミリスが視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防に対する適応追加承認を取得
アレクシオンファーマ合同会社は5月26日、「ユルトミリス点滴静注300mg」「ユルトミリスHI点滴静注300mg/3mL」「ユルトミリスHI点滴静注1100mg/11mL」(一般名:ラブリズマブ(遺伝子組換え)、以下ユルトミリス)について、最初で唯一の長時間作用型C5補体阻害剤として、抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性の視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防に対する適応追加の承認を5月25日付で取得したと発表しました。
視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は、脳や脊髄、視神経などに炎症が起こる自己免疫疾患です。ほとんどの患者さんにおいて再発が認められ、神経症状の新規出現や既存の神経症状の悪化が再発の特徴であり、これらの症状を繰り返すことが多く、障害が一生残る場合もあります。現在、日本国内には約4,000人の患者さんがいるといわれています。
今回の承認は、国際共同第III相試験(CHAMPION-NMOSD試験)から得られた良好な結果に基づいたものです。同試験において、 ユルトミリスを投与された患者さんは、主要投与期の73週間(中央値)にわたる治療期間を無再発で経過し、延長投与期まで合計90週間(中央値)続きました。これにより、主要評価項目である「独立評価委員会により判定された初回の試験中再発までの期間」を達成することができました。
東北医科薬科大学脳神経内科学教授の中島一郎氏は、「NMOSDは一度の再発で長期にわたり生活を一変させる障害を引き起こすことがあります。そのため、本疾患では、再発予防が主な治療目標であり、また患者さんの生活の質(QOL)を維持するためにも極めて重要となります。CHAMPION-NMOSD試験で再発が認められず、8週間ごとの投与で再発することなく生活できる可能性があるこの長時間作用型C5補体阻害剤が国内で承認されたことは、抗AQP4抗体陽性のNMOSD患者さんにとって大きな進歩となります」と述べています。
また、アレクシオンの 最高経営責任者(CEO)である マーク・デュノワイエ氏は、「アレクシオンは、患者さんの再発リスクを低下させるというC5補体阻害剤の有効性を明らかにしたことで、NMOSDを取り巻く状況を一変させました。今回の承認により、利便性の高い8週間ごとの投与で再発を予防できる可能性のある革新的な長時間作用型の治療選択肢を患者さんに提供することで、引き続きNMOSDコミュニティに対する取り組みを推進してまいります。世界中の患者さんがより良い人生を送るために、さらに多くの方々へユルトミリスをお届けできるようになったことを誇りに思います」と話しています。
なお、今回の試験結果は、Annals of Neurologyで発表され、2023年米国神経学会年次総会で優秀抄録に選ばれました。