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色素性乾皮症の原因遺伝子産物がDNA損傷を認識・修復の必要性を判断するメカニズムを解明

神戸大学と国立遺伝学研究所は4月20日、紫外線や化学発がん物質などによって生じるさまざまなDNA損傷を修復する過程で、修復の失敗を防いでいる精巧な分子メカニズムの解明に成功したと発表しました。

この成果は同大学バイオシグナル総合研究センターの菅澤薫教授と国立遺伝学研究所の花岡文雄所長、米国国立衛生研究所のWei Yang博士らの研究グループによるもので、Nature誌に4月19日付で掲載されました。

DNA損傷は、放置されると突然変異や細胞死を引き起こし、やがてがんをはじめとするさまざまな疾患の発症につながる可能性があるため、私たちの体にはDNAの傷を修復するためのさまざまなメカニズムが備わっています。色素性乾皮症(XP)の患者さんの多くはヌクレオチド除去修復(NER)という修復機構で働くタンパク質に遺伝子変異があり、正常に作用しないため、特に皮膚がんが発症しやすいといわれています。

研究グループは、既にわかっているヌクレオチド除去修復(NER)の反応ステップに沿って、損傷を含むDNAにXPC、TFIIH、XPA が順番に結合した複合体を調製し、それらの分子構造をより詳細に解析したことにより、DNAの損傷を認識し、修復をすすめるかどうかの判断を行うメカニズムを見出しました。

神戸大学と国立遺伝学研究所はプレスリリースにて「今回の研究から、NERによるDNA 損傷の修復過程で、XPA、XPB、XPDといったタンパク質のどの部分が、どのような働きをしているかが詳しく明らかになりました。XPの患者で起こっている変異によってこれらのタンパク質に引き起こされる構造変化が、修復反応にどのような悪影響を及ぼして症状の発現につながっているのか、理解が格段に進むとともに、将来的には創薬などの治療法の開発にも貢献できる可能性があります」と述べるとともに、「特に我が国ではXPAに変異を持つXPの患者の割合が圧倒的に高く、タンパク質の構造と機能の関係について理解が進むことは非常に大きな意義があります。」と語っています。

出典
神戸大学 プレスリリース

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