全身性エリテマトーデス患者さんに関する国際調査の結果をGSKが発表
グラクソ・スミスクライン(GSK)株式会社は2月28日、世界7カ国の専門医648名を対象に、ループス腎炎を有する患者さんを含む全身性エリテマトーデス患者さんの臓器障害および疾患修飾へのアプローチの実態を把握することを目的とした国際調査の結果を発表しました。
全身性エリテマトーデス(SLE)は、全身の様々な場所や臓器に問題が発生する自己免疫疾患です。臓器障害は、診断から5年以内に発症することが多いため、早期診断と早期治療が重要となります。
今回の調査には、世界7カ国(日本、米国、カナダ、中国、フランス、ドイツ、スペイン)からリウマチ専門医、腎臓専門医および内科専門医648名が参加し、2022年7月~9月に行われました。
調査の結果、世界の約半数(44%)の医師が、新型コロナウイルス感染症の蔓延などにより、多くの患者さんが診療の予約や最適な治療の機会を逃し、さらに一部の患者さんでは臓器障害の発症や増悪につながるなどの臓器障害のリスクが高まったと回答。日本においても、40%の医師が同様の回答でした。
また、日本においては、24%の医師が「患者さんに症状がなくても臓器障害が生じるリスクがあると認識」している一方で、85%の医師が「診断後1年以上経過してから臓器障害のリスクを患者さんに伝えている」こと、46%の医師が「患者さんから先に臓器障害について話をされるまで待つことが頻繁にある」と回答したことから、臓器障害に関する患者さんと医師との対話は診断時に行われることが重要と示唆されたとしています。
この結果について、世界ループス財団事務局のコミュニケーション担当Vice PresidentであるMike Donnelly氏はプレスリリースにて「臓器障害に関して、SLE患者さんと医師は対話をしていますが、SLE患者さんの臓器障害が患者さんとその家族に及ぼす影響を真に軽減するためには、さらに多くの対話が必要です。そして、その対話は、診断時に行われるべきです」と述べています。
さらに、日本の64%の医師は「重大な臓器障害リスクのあるSLE患者さんを簡便に特定できる方法を求めている」と回答。また、43%の医師が「SLEによる臓器への影響をモニタリングおよび測定することは困難である」、76%の医師が「現状の臓器の機能および障害のより正確な状況を示すバイオマーカーを特定したい」と回答していることから、全身性エリテマトーデス患者さんの臓器障害リスクや進行抑制に役立つデータやツールが求められている現状が示唆されました。
このほかの設問からは、「医師が利用できる治療法についての情報が多ければ、現状の症状の緩和に努めながら、長期的な治療計画も立てることができ、短・長期の治療目標の両立の可能性があること」や「SLEの病因およびSLEは修飾可能な疾患であるという見解に対して、医師の意見の統一性はみられなかった」ことなどが示されました。
これらの結果について、米ヒューストン大学ティルマン・フェルティッタ・ファミリー医科大学の腎臓専門医、医学部臨床教授で、米ベイラー医科大学の非常勤准教授であるDr Rajeev Raghavan氏は、プレスリリースにて「臓器障害は、SLEと共に生きる人々にとって非常に現実的なリスクです。この調査結果は、ツールやガイドラインの改善の必要性を強調しています。また、私たち医師が、診断時に臓器障害のリスクについてSLE患者さんの理解を深めるために行動し、そして、臓器障害リスクを積極的に低減する長期的な治療管理計画を患者さんと一緒につくることが重要です」と述べています。