遅発型ポンペ病の成人患者を対象とした遺伝子治療薬AT845、予備的な安全性と有効性に関する追加データが判明
アステラス製薬株式会社は2月24日、遅発型ポンペ病(LOPD)患者さんを対象に遺伝子治療薬AT845を評価する第I/II相試験である「FORTIS試験」において、予備的な安全性と有効性に関する追加のデータが得られたと発表しました。今回のデータは、第19回WORLDSymposiumTM2023で発表するそうです。
AT845とは、遅発型ポンペ病の成人患者さんを対象に酸性α-グルコシダーゼを発現する機能性GAA遺伝子を筋肉細胞内に直接送達するためのアデノ随伴ウイルス(AAV)遺伝子補充療法です。遅発型ポンペ病は、酸性α-グルコシダーゼが欠損または活性が低下することにより、ライソゾームに分解できないものが溜まってしまう疾患です。
今回、FORTIS試験では、被験者4名がAT845を投与し、そのうち3名は、AT845投与後に遅発型ポンペ病の標準治療である酵素補充療法の投与を中止しました。ERT投与中止後、それぞれ19、44、51週時に身体機能について測定を行いました。
その結果、ERT投与中止した被験者を含む4名は、努力肺活量や6分間歩行試験などの身体機能に関する評価項目において、引き続き安定していることが示されました。また、ポンペ病の特徴である疲労や日常生活動作についての患者報告アウトカムも安定していました。
なお、安全性については1名の被験者で、注射部位反応と思われる事象が見られましたが、ジフェンヒドラミンとアセトアミノフェンの経口投与で改善。被験者3名が軽度から中等度の一過性の高トランスアミナーゼ血症を発症し、AT845に関連している可能性があると判断されましたが、3例ともステロイド投与量を変更することで改善したため、AT845との関連性はないと考えられています。
アステラス製薬はプレスリリースにて「アステラス製薬は、アンメットメディカルニーズの高いポンペ病患者さんのために、AT845の開発に引き続き取り組んでいきます」と述べています。