筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する高用量メコバラミン製剤、新薬承認申請に向けた作業を開始
エーザイ株式会社は5月10日、メコバラミンの高用量製剤について、日本における筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する新薬承認申請に向けた作業を開始し、2022年3月に同剤の希少疾患用医薬品指定申請を厚生労働省に提出し、2023年度中の新薬承認申請を予定していることを発表しました。
これは、徳島大学の梶龍兒特命教授(主任研究者)、徳島大学大学院医歯薬学研究部臨床神経科学分野の泉唯信教授(治験調整医師)ら研究チームが発表した「高用量メチルコバラミン(メコバラミン)の筋萎縮性側索硬化症に対する第III相試験-医師主導治験-」(The Japan Early-Stage Trial of Ultrahigh-Dose Methylcobalamin for ALS: 以下、JETALS)の良好な臨床試験結果を受けたもの。同試験では、発症早期のALS患者さんに対する高用量メコバラミンの有効性、安全性の検証が行われました。
これまでにエーザイは、ALSに対する臨床第II/III相試験(761試験)を実施し、その結果に基づいて、2015年5月に高用量メコバラミンの新薬承認申請を行っていました。しかし、医薬品医療機器総合機構(PMDA)より、申請パッケージが不十分であるとの見解を示され、2016年3月に申請を取り下げていました。
一方、761試験の追加解析では、ALS発症後12カ月以内に治療を開始した患者様に対する高用量メコバラミンの生存期間延長効果と進行抑制効果が示唆されたことから、発症1年未満のALS患者さんを対象に、高用量メコバラミンの有効性・安全性を再検証するため、医師主導治験としてJETALSが実施されたそうです。
その結果、高用量メコバラミンの有効性・安全性および忍容性が証明され、徳島大学と協議の上、日本における高用量メコバラミンのALSに対する承認申請を改めて行うことを決定したそうです。
エーザイはプレスリリースにて、「神経領域を重点疾患領域と位置づけており、新たな薬剤の開発に注力しています。神経領域におけるアンメット・メディカル・ニーズの充足と患者様とそのご家族のベネフィット向上により一層貢献してまいります」と述べています。なお、同試験の結果は学術誌「JAMA Neurology」に5月9日付で掲載されています。