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ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィーモデルマウスの病態、6型コラーゲンを補う細胞移植で改善

京都大学 iPS細胞研究所(CiRA)は8月24日、ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー(UCMD)のモデルマウスに対する細胞移植で6型コラーゲンタンパク質を補うことで、筋肉をより太く成熟させることに成功したと発表しました。

この研究成果は、同研究所の竹中菜々研究員(CiRA臨床応用研究部門)、櫻井英俊准教授(CiRA同部門)ら研究グループによるもので、専門誌「Stem Cell Research & Therapy」に8月9日付で掲載されました。

間葉系間質細胞(MSC)は6型コラーゲンタンパク質をはじめとする各種因子を分泌することで、骨格筋を維持する機能があります。6型コラーゲン遺伝子に変異が生じると、UCMDの原因となります。これまで、UCMD患者さんから採取した細胞やモデルマウスから、骨格筋の再生不全が報告されていた一方、6型コラーゲンタンパク質の有無がどのように症状に影響をあたえているのかは、ほとんど知られていなかったそうです。

今回、研究グループは免疫不全UCMDモデルマウス(Col6a1KO)の筋肉内にMSCを移植し、少なくとも12週間生着することを確認。さらに6型コラーゲンを産生するMSCを移植すると細胞が生着し、6型コラーゲンが補充された部位でのみ筋再生や成熟が進んだということです。また、UCMDモデルマウスから分離した骨格筋サテライト細胞は、6型コラーゲンを産生するMSCと共培養することで、増殖能力と骨格筋への分化・成熟能力が改善したそうです。

画像はリリースより

今後展望について、研究グループはプレスリリースにて、「再生した筋肉がどの程度機能するのかはさらなる検証を行う必要があります。今回の成果では細胞移植部位でのみ筋肉の再生がみられており、実際の治療法とするためには広範囲の筋肉で同様の筋再生を促す方法の開発が求められます」と述べています。

出典元
京都大学 iPS細胞研究所(CiRA) プレスリリース

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