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特発性肺線維症(IPF)発症メカニズムの一端を解明

名古屋大学は7月16日、肺線維症の発症原因のひとつとされるタンパク質架橋酵素トランスグルタミナーゼにより架橋修飾される標的タンパク質群の同定解析手法を開発し、特発性肺線維症(IPF)の病態発症メカニズムの一端を明らかにしたと発表しました。

この成果は、同大大学院創薬科学研究科の辰川英樹助教、竹内大修大学院生、人見清隆教授ら研究グループと、同大トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)の桑名啓子センターチーフらとの共同研究によるもので、米国呼吸器雑誌「American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology」オンライン版に7月15日付で掲載されました。

特発性肺線維症(IPF)は、肺胞にできる傷の修復が繰り返され、タンパク質が過剰に増加して間質が厚くなり、呼吸機能が低下する疾患です。難治性疾患ですが、病態増悪に関わる詳細な分子メカニズムは解明されておらず、有効な治療法もこれまでのところ確立されていません。

今回、研究グループはIPFモデルマウスを用いた研究を実施。IPFの発症原因に関わるタンパク質間に共有結合を作る架橋酵素に着目し、架橋修飾される標的基質タンパク質を空間的・網羅的に同定する新手法を開発しました。これにより、病態形成に伴い架橋される126種類の基質因子が見出されました。

画像はリリースより

研究グループはプレスリリースにて、「難治性疾患である特発性肺線維症の病態増加に関わる架橋酵素の標的基質タンパク質群を網羅的に同定した本研究成果は、繊維化の病態分子機構の解明および新たな病態治療法の開発のための創薬シーズの創出に繋がります」と述べています。

出典元
名古屋大学 プレスリリース

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