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筋萎縮性側索硬化症の進行予測に有効な尿中のタンパク質を発見

名古屋大学の研究グループは神経難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS 指定難病2)について、尿中チチンが予後予測のバイオマーカーとして有用である可能性を示しました。チチンは横紋筋を構成するタンパク質であり、力を入れて縮んでいた筋肉がもとに戻る際に働く役割があります。尿中のチチンは尿検査から非侵襲的に測定可能なため、将来のALSの予後予測に用いれると期待されています。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動ニューロンが障害され、徐々に筋肉がやせ細っていく進行性の神経難病です。これまでに根本的な治療法はなく、徐々に嚥下障害や呼吸器障害がみられるようになります。ALSに対する研究はこれまでにいくつか行われていますが、現在は症状の進行を遅らせる効果が期待されるリルゾールとエダラボンの2種のみ承認されるに留まっています。これまでのALS研究は家族性ALSのモデル動物を用いて行われており、孤発性ALSには十分に応用できていませんでした。さらに、重症度や予後を予測可能なバイオマーカーも未確立であり、孤発性ALS患者を対象としたバイオマーカーの発見や治療法の確立が望まれています。

チチンは骨格筋が傷ついた際に壊れて筋肉の外に漏れ出る物質として知られます。この漏れ出たチチンはtitin N-fragmentと呼ばれ、筋ジストロフィーなどの患者の尿で増加していることが知られます。そこで本研究グループは健常者、ALS患者、その他の神経筋疾患から尿や血清などの生体資料を解析し比較しました。その結果、ALS患者は健常者と比較して尿中チチンが上昇していました。さらに、ALSの評価尺度であるALSFRS-R のスコアに伴い尿中チチンの値も相関していました。また、尿中チチンの高いALS患者群は予後不良であることも示されました。

出典元
名古屋大学プレスリリース

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