withコロナ時代の血友病と在宅治療
サノフィ株式会社は「withコロナ時代における血友病の在宅治療ニーズと最新ソリューション」をテーマにしたセミナーを開催しました。現在の血友病治療に関する課題や今後の展望について東京医科大学病院 木内先生、サノフィ株式会社 笠本氏が講演しました。
「血友病患者の在宅治療における課題」
木内 英 先生 (東京医科大学病院 臨床検査医学科 診療科長/主任教授)
血友病の治療において定期輸注製剤の普及に伴い自己輸注・家庭輸注に対応する薬も増えてきました。職場や旅行先、夜間や休日でも輸注可能なためその必要性は徐々に高まっています。現在では、約8割から9割の血友病患者が定期補充療法を実施しています。在宅治療は非常に利便性が高いですが、医師が患者本人の投薬状況を詳細に把握することの困難さや、投与を患者本人に任せることによるアドヒアランス不良、薬を自宅まで持ち帰る際の負担など、課題も多く残されています。特に近年では、さらに新たな課題やニーズも浮き上がってきました。多種多様な製剤の出現により輸注パターンも多様化し、血友病患者の高齢化に伴って通院の困難や自己輸注の困難がみられます。新型コロナウイルス感染症流行下における新たな知見も増えています。これまでに、血友病患者が特に重症化するという報告はありません。またCOVID-19血栓リスクに対し、抗凝固剤は禁忌ではないとされています。感染リスクから医療機関の受診を控え、薬を定められた単位を外れて少しずつ使うなど、独自の判断での投与は危険です。また、運動不足による支持筋力の低下などに注意しましょう。
「サノフィの血友病領域へのコミットメント / 血友病患者さんへの在宅治療サポートプログラム」
笠本 浩 氏(サノフィ株式会社 サノフィジェンザイムビジネスユニット 希少血液疾患フランチャイズヘッド)
サノフィは2014年に世界初の半減期延長型凝固因子製剤を発売しました。さらに、サノフィが治療戦略のパラダイムシフトを可能にする、開発注力する6つのプログラムのうち2つが血友病製剤です。これまでにサノフィは最大4憶5000万国際単位の血液凝固因子製剤を発展途上国に寄付し、1万7000人以上の患者が治療を受けてきました。サノフィでは在宅治療をさらに便利にするためのツール開発を進めています。現状は外来を受診し、自身で自宅まで数か月分の薬を持ち帰らなければいけません。この現状を変えるために、薬の温度を一定に保ち安全に輸送できる高機能保冷ボックス VIXELL、在宅で薬剤の保管と管理ができる冷蔵庫 myCubixx、血友病輸注記録アプリ あすA・あすBを開発しました。あすA・あすBは輸注と出血の記録が管理できます。また、歩数アプリと連携して活動量との関連も閲覧できます。サノフィはこれからも血友病におけるリーダーであり続けます。そして、希少血液疾患の薬剤開発を継続し、患者さんの笑顔に貢献していきます。