1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. 全身性脂肪萎縮症原因タンパク質の新たな機能を解明

全身性脂肪萎縮症原因タンパク質の新たな機能を解明

順天堂大学をはじめとする研究グループは、細胞核内の脂肪滴が、細胞質内の脂肪滴とは異なるメカニズムで形成されることを明らかにしました。脂肪滴の形成に関わっているタンパク質セイピンの欠損や変異は全身性脂肪萎縮症(指定難病 265)の原因になることが知られています。

脂肪滴は過剰な脂質を貯蔵するための構造で、通常は細胞質に存在します。脂肪細胞内の脂肪滴は古くから知られていますが、脂肪細胞以外の細胞にみられる脂肪滴の存在も徐々に明らかになっており、さらに脂肪滴形成に関わるタンパク質の欠損や変異が疾患に繋がることも知られてきました。そのうちの一種セイピンは脂肪滴の形成と脂肪組織に重要であることが知られていますが、詳細な働きは不明なままでした。一方で、細胞質だけでなく核内での脂肪滴の存在も知られるようになりましたが、核内の脂肪滴が形成される仕組みも不明な点が多く残されています。そこで本研究では核内脂肪滴の形成過程と、脂肪滴形成に関わるタンパク質セイピンの機能を調査しました。

研究グループはまず、脂肪滴の形成に不可欠なトリグリセリドの合成に重要な酵素タンパク質が内核膜にも分布していることを明らかにしました。さらに脂肪滴を蛍光標識し、内核膜で脂肪滴が形成される過程を動画に収めました。また、トリグリセリド合成に必要なタンパク質リピン1が細胞質から核内へと移行し、核内脂肪滴周囲に分布することも明らかにしました。次に研究グループはセイピンの機能について検討し、セイピンの量を減少させると細胞質脂肪滴に異常が生じ、加えて核内脂肪滴が増加することを明らかにしました。本研究により核内脂肪酸の形成メカニズムが解明できました。これにより、細胞質の脂肪滴と核内の脂肪滴を別々に制御可能になりました。セイピンのメカニズムの更なる研究により、全身性脂肪萎縮症などセイピン異常が引き起こす疾患の病態解明にも繋がると期待されています。

出典元
順天堂大学 プレスリリース

関連記事