多発性硬化症「メーゼント®錠」新発売
ノバルティスファーマ株式会社は二次性進行型多発性硬化症に対し有効性を示した初めての薬剤である「メーゼント錠®」(一般名:シポニモドフマル酸)を新発売したことを発表しました。また、「メーゼント®錠 投与のためのCYP2C9検査結果無償提供プログラム」も開始しました。
メーゼントは特定の種類のスフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体に作用する薬です。S1P受容体の一種であるS1P1受容体に結合すると、リンパ球のリンパ節への移出を防ぎます。その結果リンパ球が中枢神経系に移行できず、炎症が抑えられると考えられます。非臨床試験ではメーゼントによるミエリンの再形成促進作用と神経保護作用が示唆されています。メーゼントは代謝酵素であるCYP2C9で代謝されますが、CYP2C9には遺伝子のタイプが複数あるため、患者はメーゼント治療開始前にCYP2C9の遺伝子検査を受けることとされています。
メーゼントの投与を受ける患者のCYP2C9遺伝子型を判定するための体外診断用医薬品として「eQ-PCRTM LC CYP2C9*2, *3ジェノタイプキット」があります。しかし現時点ではこのキットは保険適用となっておらず、必要な検査を受けられないためにメーゼント使用の機会を失ってしまう患者が出てくると心配されます。そこでノバルティスファーマ株式会社はキットによる検査が保険適用となるまでの間、「メーゼント®錠投与のためのCYP2C9検査結果無償提供プログラム」の実施を決定しました。