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幹細胞の分化に関わる転写因子を網羅的に解析

慶應義塾大学および国立成育医療研究センターをはじめとする研究チームはヒト胚性幹細胞(ES細胞)を用いて、幹細胞分化に関係する転写因子の網羅的な同定に成功したと発表しました。将来的にはiPS細胞を含む幹細胞から、希望する細胞や組織を自在に生み出す技術にも応用できると期待されています。

細胞の運命を決定づける因子の解析

ES細胞は受精卵の一部分の細胞を取り出して作られる幹細胞で、あらゆる細胞に分化する能力があります。iPS細胞と共に再生医療や臓器移植の分野で注目を集めています。一部の組織は既に幹細胞から作成され臨床研究も進められていますが、幹細胞から目的の組織を誘導する機構は不明な点も多く残っており、大部分の細胞は未だ分化誘導法が確立されていません。細胞の転写因子(TF)は、幹細胞が将来的にどの細胞になるのか(細胞運命)を決定づける重要な役割を持つことが知られています。しかし、ヒトを対象にした体系的なTFの解析は行われてきませんでした。

自在に細胞の運命を制御する技術にも期待

そこで本研究ではヒトのゲノムに存在するうちの20~30%のTFを収集し、ES細胞の細胞運命を決定づける因子の解析を行いました。TFの機能が網羅的な解析の結果、特定の臓器の遺伝子発現の状態とよく似た状態を作り出すTFも特定されました。こうしたTFをそれぞれ詳細に解析することで細胞運命の操作が容易になり、特定の臓器を形成する技術へも繋がると期待されています。

出典元
慶應義塾大学医学部

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