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移植後の血栓性微小血管障害を誘発するリスク因子を特定

京都大学医学部附属病院をはじめとする研究チームは、移植後血栓性微小血管障害症(TA-TMA)の発症リスクを高める因子として、ヒト白血球抗原型(HLA)の不一致と急性移植片対宿主病(GVHD)の合併がリスク因子になり得ることを見出したことを発表しました。造血幹細胞の移植は難治性血液疾患の治療に用いられる手法であり、TA-TMAは稀な難治性の合併症として知られます。

難治性血液疾患の合併症に対する初の大規模な解析

同種造血幹細胞移植は白血病などの難治性血液疾患の患者さんに対して用いられる治療法ですが、移植後の合併症による後遺症や死亡のリスクも懸念されています。なかでも移植後血栓性微小血管障害症(TA-TMA)が起こると治療が難しく、予後が悪いことが知られています。これまでに全国で広く行われた患者調査は行われていないため、TA-TMAの発症リスク因子はわかっておらず治療法も見つかっていませんでした。

移植後血栓性微小血管障害症のリスク因子を同定

研究チームは京都大学医学部附属病院血液内科をはじめとする17施設の患者約2,000名からなる京都造血幹細胞移植グループ(KSCTG)を構築し、登録患者のデータを解析しました。既に登録されていたデータだけでなく、不足分のデータについては過去の診療録原本まで立ち返ってデータを収集したとのことです。その結果、既にTA-TMAの発症リスク因子として知られるヒト白血球抗原型(HLA)の不一致移植に加えて、急性移植片対宿主病(GVHD)、アスペルギルス感染症、肝類洞閉塞症候群(VOD/SOS)などもリスク因子となり得ることが明らかになりました。また、今回の解析結果より、従来のガイドラインの記載よりも良好な治療効果が期待できる治療法も示唆されました。

出典元
京都大学 研究成果

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