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希少難病CADASILの病態モデルiPS細胞で再現に成功

京都大学iPS細胞研究所は、山本由美研究員(国立循環器病研究センター病態代謝部)らの研究チームが、血管病CADASILの患者に由来するiPS細胞を用いて、疾患の病態を試験管内で再現できたことを発表しました。
若年性の認知症を生じることもある希少難病CADASILはこれまでに病態が解明されておらず、治療法も確立されていません。

研究背景

CADASIL (cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy)は、血管壁の細胞にのみ存在するタンパク質の情報をコードする遺伝子に変異が見られる遺伝性疾患です。毛細血管などの小さな血管の細胞が変性してしまうことで、脳梗塞や認知症を発症すると考えられています。有病率は人口10万人あたり数人とされており、国内の患者数は500人未満と考えられています。

研究内容

今回の研究ではまずCADASIL患者の細胞をもとにiPS細胞を作成し、このiPS細胞を用いて成熟した血管壁細胞を作成することに成功しました。この手法により作成した血管壁細胞を、これまでに臨床的にCADASIL患者の特徴として知られている病態(NOTCH3タンパク質の細胞外部分の凝集、細胞骨格アクチン繊維の構造異常、PDGFRβの増加)が明止められました。こうした結果から、CADASIL患者に由来するiPS細胞により病態モデルとして信頼できることを示しています。
こうした一連の研究より、CADASIL患者の血管壁では血管新生の際の細胞増殖と遊走の切り替えが正常に働かなくなることで血管の形成が不安定になり症状が引き起こされると考えられています。

出典元
京都大学iPS細胞研究所CiRA ニュース

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