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てんとうてんかん (うえすとしょうこうぐん)
点頭てんかん(ウエスト症候群)West syndrome

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病気・治療解説

概要

欧米ではinfantile spasmsとも呼ばれることもある。その成因は多彩であり、出生前由来の結節性硬化症から後天的な急性脳炎後遺症まで様々である。発症前の発達は、重度の遅れがある場合から正常発達まである。好発年齢は1歳以下で、2歳以上は稀である。その発作は特異であり、座位や立位では頭部を一瞬垂れることから、日本では点頭てんかん発作と呼ばれている。以前はミオクロニー発作に分類されたり、強直発作に近いということで強直スパスムスと呼ばれたりした時期もあったが、最近では独立した発作型概念として「てんかん性スパスムス(Epileptic spasms: ES)」として分類されるようになった。発作は単独でも出現するが、多くは「シリーズ形成」と称される様に周期性(5-10秒毎)に出現するのが特徴である。脳波所見も特徴的で、Gibbsらにより「ヒプスアリスミア」と命名された無秩序な高振幅徐波と棘波から構成される特異な発作間欠期脳波を呈する。覚醒時、睡眠時を問わずほぼ連続して高度の全般性異常波が出現し、West症候群が属する「てんかん性脳症」の概念の中核を成す所見である。発作予後、知的予後は不良とされ、急速な精神運動発達の停止や退行は不可逆性の場合が多い。治療法には限界があるが、バイガバトリンや副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone: ACTH)療法が本症候群治療の主流を成している。

診断基準

①シリーズ形成性のES、②脳波上のヒプスアリスミア、③精神運動発達の停止、退行を3主徴とするてんかん症候群であり、下記の特徴を満たす。

1.発症年齢:好発年齢は生後3~11ヶ月で2歳以上の発症は稀である。

2.てんかん発作型:覚醒直後に好発するESで、約5~40秒周期(約10秒程度が多い)で出現する極短時間の四肢の筋攣縮(座位では一瞬の頭部前屈を伴う)が特徴である。ESはその体幹の動きの方向より①屈曲型(34%)、②伸展型(25%)、③混合型(42%)、④非対称型(1%<)に分類される。また四肢の動きに注目して①対称型、②非対称型/非同期型、③焦点型、④部分発作と併存型、⑤微細型、⑥短時間の脱力先行型、⑦非臨床型などに分類される場合もある(1)。シリーズ形成中、ES開始当初より時間と共に徐々にESの動きの程度が弱くなる。治療の過程や年齢で単発のESが混在してくることがある。

3.脳波所見:ヒプスアリスミアと呼ばれる無秩序な高振幅徐波と棘波から構成される異常脳波である。

4.精神運動発達:ESの発症と前後して精神運動発達の停止とその後に退行がみられる。

1-4を満足する必要がある。

鑑別疾患

乳児期に生ずるてんかん発作や不随意運動発作などが鑑別疾患となる。また関連疾患として新生児期より発症する大田原症候群も存在する。

成因

West症候群の特徴として多種多様な成因を背景として発症する。現在、発症までの発達が正常であり、脳画像所見を含む各種検査で異常がない①潜因性と、異常の存在する②症候性に分類されている。後者の中では新生児低酸素性虚血性脳症、染色体異常症、先天奇形症候群、脳血管障害、結節性硬化症、未熟児傍側脳室白質軟化症、出血などが主な原因とされる(2)。最近、原因不明とされてきた一部症例にARX、STK9/CDKL5、SPTAN1、STXBP1などの遺伝子変異が発見されてきている。またWest症候群の中で特異な成因としてAicardi症候群があり、①女児、②脳梁欠損(傍側脳室異所性灰白質、全般性皮質形成異常)、③多発性網膜異常(脈絡膜、網膜小窩)を合併する。

検査所見

1)脳波所見
(1) 発作間欠期所見
ヒプスアリスミア自体は、覚醒時よりNREM睡眠時によくみられが、てんかん波はむしろ覚醒時の方が出現しやすいとされる。ヒプスアリスミアの連続性は覚醒時と睡眠第I期に最もよく見られ、II-III期に減少するとされる。また睡眠時II-III期には間欠性に出現する。ヒプスアリスミアの局在優位性については明らかでないものが最も多く、次いで後頭優位であり、前頭優位なものは稀で、1歳以降にのみ認められるとされる。左右半球同期性については、年齢とともに同期しやすくなり、逆に睡眠段階が増すにつれ非同期となりやすいとされる。一側優位性や焦点性が存在するヒプスアリスミアは、症候性成因を示唆する。ヒプスアリスミアが左右同期性により秩序だって出現する場合を典型ヒプスアリスミアと区別して非典型あるいは修正ヒプスアリスミアと呼ぶ場合もある。最近ではこの発作間欠期脳波異常のヒプスアリスミア自体を非けいれん性発作重積症(電気的脳症)と解釈する専門医が多くなっており、その意味ではES出現前より退行が始まる理由としてヒプスアリスミアが先行するためと考えられている。

(2)発作時脳波所見
①速波群発、②高振幅徐波発射、③低振幅化の順に多いとされている。

2)頭部CT、MRI所見
成因により特徴的な所見を呈する。結節性硬化症では、頭部CT検査で脳室周囲石灰化、MRIでは多発性の皮質下結節が描写される。また大脳形成異常として皮質異形性、片側巨脳症などもある。

3)その他
成因で述べたように様々な原因疾患を基盤として発症するので染色体検査、代謝異常検査、髄液乳酸、遺伝子検査などが必要となる。

治療

有効率の観点より第1選択薬は日本ではいまだにACTH治療であるが、バイガバトリンが入手できるEU諸国ではバイガバトリンが第1選択薬となっている。日本においてもACTH治療は副作用も多いため、まず有効性は劣るがより副作用の少ないゾニサミド、バルプロ酸、クロナゼパンやビタミンB6大量療法が試みられている。ACTH療法も、副作用を軽減するためにACTH少量療法(0.015-0.005mg/kg)が行われている。また頭部画像診断で限局性皮質脳異形性や片側巨脳症が存在し、切除可能な場合にはてんかん外科治療も行われている。

予後

発作の短期予後ではACTH療法などにより50~80%の症例が軽快するが、その後に30~40%の症例は、Lennox-Gastaut症候群に移行するとされる。長期予後では約50%の症例でてんかんが持続する。また80~90%の症例で精神遅滞を呈するが、自閉症の合併も高率である。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。