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びたみんでぃーていこうせいこつなんかしょう
ビタミンD抵抗性骨軟化症Vitamin d resistant osteomalacia

小児慢性疾患分類

疾患群5
内分泌疾患
大分類36
ビタミンD抵抗性骨軟化症
細分類81
ビタミンD抵抗性骨軟化症

病気・治療解説

概要

天然型ビタミンDの通常量で治癒できない骨軟化症の総称として、ビタミンD抵抗性骨軟化症という病名が使用され、低リン血症性骨軟化症、繊維芽細胞増殖因子23 (fibroblast growth factor 23: FGF23) 関連低リン血症性骨軟化症、高カルシウム尿症を伴う遺伝性低リン血性くる病、腫瘍性骨軟化症などが含まれる。通常、ビタミンD依存症とは区別される(ビタミンD依存症の項参照)。生後、数年以内にくる病の形で発症することが多い(ビタミンD抵抗性くる病)。

疫学

いずれも稀。全体で10000人程度の患者数、年間の新規患者数が117名と推定されている。

病因

ビタミンD抵抗性骨軟化症の多くは、リン酸の尿中排泄を促すホルモンであるFGF23の過剰産生により、血中リン濃度が低下し、骨の石灰化が障害されることで発症する。遺伝性のビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症では、数種類の遺伝子異常により骨でのFGF23産生が亢進し、発症することが判明している。良性の腫瘍よりFGF23が過剰産生されると、後天的な腫瘍性ビタミンD抵抗性骨軟化症が発症する。

症状

ビタミンD抵抗性くる病では、O脚やX脚などの骨変形、成長障害、脊柱の湾曲、頭蓋癆、大泉門の開離、肋骨念珠、関節腫脹が生じる。ビタミンD抵抗性骨軟化症では、骨変形、骨痛、筋力低下が主徴となる。適切な治療が行われないと、著明な筋力低下をきたす。発症機序は明らかではないが、後縦靭帯の骨化が促進され、神経症状を伴う場合がある。その他、低リン血症、高ALP血症が見られる。

診断

骨軟化症では、大項目の
a) 低リン血症、または低カルシウム血症
b) 高骨型アルカリホスファターゼ血症
と小項目の
c) 臨床症状:筋力低下、または骨痛
d) 骨密度:若年成人平均値(YAM)の80%未満
e) 画像所見:骨シンチグラフィーでの肋軟骨などへの多発取り込み、または単純X線像でのLooser’s zoneなどかから診断する。
すなわち、大項目2つと小項目の3つをみたすものを骨軟化症とし、大項目2つと小項目の2つをみたすものを骨軟化症の疑いとする。
鑑別診断としては、ビタミンD欠乏症、骨粗鬆症、癌の多発骨転移、多発性骨髄腫、腎性骨異栄養症、副甲状腺機能亢進症が上げられる。

治療

リン製剤と活性型ビタミンD3製剤を投与する。ただし、これらは病因に基づく治療ではなく、完治させることはできない。また下痢や高カルシウム血症などによる腎機能障害、二次性副甲状腺機能亢進症などの有害事象が問題となる場合がある。腫瘍性ビタミンD抵抗性骨軟化症では、腫瘍摘出により完治させることができる。骨変形に対して、手術治療が行われる。

予後

リン製剤と活性型ビタミンD3製剤の投与により、ビタミンD抵抗性くる病患者の成長障害はある程度改善するものの、成人後も平均身長を下回る場合が多い。下肢の骨変形が残る場合が多い。ビタミンD抵抗性骨軟化症患者は、治療を要しない程度の軽症者から、治療によっても筋力低下や骨痛が十分に改善せず、日常生活に支障がある中程度ないし重症の患者までみられる。

成人期以降の注意点

継続的な治療、定期的な検査が必要である。後縦靭帯硬化症を合併することがある。関節症の合併も多い。

参考文献

1. Hypophosphatemic rickets: lessons from disrupted FGF23 control of phosphorus homeostasis. Goldsweig BK, Carpenter TO. Curr Osteoporos Rep. 2015 ;13(2):88-97.
2. リン調節ホルモン、線維芽細胞増殖因子23(FGF23)の作用と作用異常。日本内科学会雑誌. 2011; 100(12):3649-3654.

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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