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2型コラーゲン異常症関連疾患Type II collagenopathy

小児慢性疾患分類

疾患群15
骨系統疾患
大分類2
骨系統疾患
細分類10
2型コラーゲン異常症関連疾患

病気・治療解説

概要

多くは2型コラーゲン(COL2A1)遺伝子変異が認められ、X線的に共通した所見がある多彩な臨床表現型を示す一連の疾患群である。
胎児期や出生直後に周産期死亡を起こす重症例から、小児期以降に診断される比較的軽症例まで幅広い症状を呈する。
軟骨基質を形成する2型コラーゲンの異常により、軟骨内骨化が障害され四肢、体幹ともに短縮する。関節軟骨や椎間板の基質も侵されるため、早発性の変形性関節(脊椎)症を発症する。常染色体優性遺伝または突然変異で発症する。椎体や長管骨の異常や顔面正中部の低形成(平坦な顔貌)、小顎症を共通の特徴とする。全身骨X線上、脊椎・骨端異形成を特徴とし、合併症としてしばしば進行性近視・難聴・U字型の口蓋裂を伴う。

病因

2型コラーゲン遺伝子type 2 collagen α1(COL2A1)の変異が原因であるが、発症機序は明らかではない。
遺伝子変異はCOL2A1全般にわたり、また重症度も周産期致死の最重症型から軽症型までスペクトラムを呈する。

疫学

本邦における患者数は、日本整形学会骨系統疾患全国登録と発生頻度からの推計で、約1500人、うち成人患者は1000人。

臨床症状

胎児期や出生直後に周産期死亡を起こす重症例では、X線上長管骨の短縮と骨幹端の拡大を示し、脊椎では椎体全体または頸椎、骨盤では恥骨の非骨化、胸郭の著しい低形成が特徴である。
出生時に診断されているが周産期死亡にまでは至らない典型例や、小児期以降に診断される比較的軽症例では、
上記の症状は比較的軽度か見られないこともあり、X線上脊椎・骨端異形成を呈し、年齢に依存して早発性の変形性関節症合併する。
顔面正中部の低形成(平坦な顔貌)と小顎症を特徴とする。内反足を合併することもある感音難聴または伝音難聴を認めることもある。
硝子体・網脈絡膜変性から網膜剥離を来す場合がある。四肢体幹ともに短縮し、低身長となる。

検査所見

X線所見
骨化遅延を特徴とする。重症例では脊椎の骨化不全を、軽症例でも恥骨や足根骨の骨化不全や大腿骨頭の骨化遅延を認める。

診断の際の留意点

本疾患群に共通するX線所見(骨化遅延)の他、顔面中央部の低形成、種々の骨格外症状(難聴、視力障害、口蓋裂など)が診断の参考になり得る。
Stickler症候群などでは必ずしも低身長にはならず、骨格外症状が主体のこともあるので注意する。

治療

疾患特異的な治療法は確立されていない。重症例では呼吸管理のみの対症療法のみである。軽症例では対症療法に加えて、網膜剥離の治療が必要となる事が多い。難聴に対する早期対応も求められる。小顎症による歯列不正に対して、矯正治療を要する(健康保険の適応)。
関節変形や早発性の変形性関節症、脊柱変形、環軸椎亜脱臼などに対して、整形外科的手術(矯正骨切り術、人工関節置換術等、固定術など)が行われる。

合併症

網膜剥離や重度近視
口蓋裂
難聴

予後

重症型では出生後早期に死亡することが多い。典型例や軽症例では低身長や脊柱側弯、早発性変形性関節症を示し、歩行障害のため日常生活が障害される。失明や難聴のリスクが高い。

成人期以降の注意点

成人期以降の長期予後についてのデータ集積はない。
しかし、脊柱変形や関節障害は高頻度に発症するため、脊柱管狭窄症、脊髄症、変形性関節症(特に股関節)に対する整形外科的な対応が必須となる。

参考文献

日本整形外科学会作成の診断基準

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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