すくしにるこえー:さんけとさんこえーとらんすふぇらーぜけっそんしょうスクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT)欠損症succinyl-CoA:3-ketoacid CoA transferase deficiency
小児慢性疾患分類
- 疾患群8
- 先天性代謝異常
- 大分類2
- 有機酸代謝異常症
- 細分類31
- スクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT) 欠損症
病気・治療解説
概要
ケトン体の肝外組織での利用に重要なスクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT)遺伝子の異常による常染色体劣性遺伝形式をとる先天性ケトン体代謝異常症である。
疫学
世界で20例以上の報告があるが、日本においては4家系例が診断されている。
病因
肝臓でのケトン体産生は問題ないが、脳をはじめとする肝外臓器、組織がケトン体を利用できず、ケトン体産生が亢進すると血中にケトン体が蓄積して重篤なケトアシドーシス発作をきたす。
症状
約半数は新生児期にケトアシドーシスをきたし、のこり半数は生後数か月から2歳頃に,飢餓,感染時に,嘔吐,多呼吸,意識障害を伴うケトアシドーシス発作をきたす.非発作時は無症状である.典型例では持続性ケトーシスがみられるが、非典型例ではこの特徴がない。
診断
重篤なケトアシドーシス発作を来した症例において疑う。他の有機酸代謝異常症などが尿有機酸分析で否定された場合に考慮する。
手引き参照
治療
1)ケトアシドーシス発作の予防〜感染時、食事摂取が難しいときには早期のグルコースの点滴補給。
2)蛋白制限食〜軽度に蛋白摂取を制限する。
3)ケトアシドーシス発作時には、十分なグルコース点滴とアシドーシスの補正、呼吸管理を含む支持療法。
予後
重篤な発作によって発達障害、死亡することもある。発作の後遺症がなければ予後は良好。
本症は10歳以降ケトアシドーシス発作の危険性は低下すると考えられている。
成人期以降
成人期に重篤なケトアシドーシスを来した例は報告がない。女性患者の正常出産の報告もある。
参考文献
1. 深尾敏幸. ケトン体代謝異常症:特にアセトン血性嘔吐症と鑑別すべきサクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ欠損症を中心に. 日本小児科学会雑誌2007; 111:723-739
2. 深尾敏幸. 脂肪酸代謝異常症,ケトン体代謝異常症の最近の進歩.日本小児科学会雑誌2012;116:1801-1812
3. Fukao T, et al. Ketone body metabolism and its defects. J Inherited Metab Dis 2014;37:541-551
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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