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てつがきゅうせいひんけつ
鉄芽球性貧血sideroblastic anaemia

小児慢性疾患分類

疾患群9
血液疾患
大分類4
鉄芽球性貧血
細分類5
鉄芽球性貧血

病気・治療解説

概要

鉄芽球性貧血は、骨髄における環状鉄芽球の出現を特徴とし、同時に無効造血が進行する貧血である。環状鉄芽球はミトコンドリアにおける鉄の利用障害により形成される。
鉄芽球性貧血は、遺伝性鉄芽球性貧血と、後天性鉄芽球性貧血に大別される。
遺伝性鉄芽球性貧血は、ヘム合成の異常、鉄 – 硫黄クラスターの合成・輸送異常にかかわる遺伝子の変異や、ミトコンドリアDNAの変異・欠失などにより発症する先天性疾患である。
後天性赤芽球性貧血は、骨髄異形成症候群(MDS)に属する原発性のものと、薬剤性、中毒性の二次性のものがある。
なお、先天性、後天性を問わず、本疾患の一部にピリドキシン治療に反応するものがあり、独立して分類される場合もある。

疫学

小児ではきわめてまれであり、正確な頻度は不明である。近年米国からは83例の遺伝性鉄芽球性貧血の報告があった。現在全国的調査研究が進められており、「遺伝性鉄芽球性貧血の診断分類と治療法の確立班」の調査研究により確認された本邦の遺伝性鉄芽球性貧血は19例で、うち12例が20才未満だった。全年齢では後天性が圧倒的に多く、またその多くは骨髄異形成症候群であるが、小児では遺伝性が多い。
遺伝性鉄芽球性貧血は、貧血以外の症状を認めない非症候性と、臓器障害を認める症候性とに分けられる。遺伝性で最も頻度の高いものはX連鎖性鉄芽球性貧血であり、男児発症が特徴である。次に頻度の高いものは常染色体性鉄芽球性貧血で、そのほとんどが常染色体劣性遺伝であるが、国内の報告例はない。そのほかに症候性のものとして小脳失調を伴うX連鎖性鉄芽球性貧血、ミトコンドリア遺伝子異常(Pearson症候群)に伴う鉄芽球性貧血、ミトコンドリア筋症を伴う鉄芽球性貧血、チアミン反応性巨赤芽球性貧血がある。
また変異遺伝子が同定されていない例の割合も少なくない。

症状

貧血症状によるもの(顔色不良、息切れ、動悸、めまい、易疲労感、頭痛)のほか、
中には鉄過剰症によるもの(肝脾腫、肝機能障害、糖代謝異常、不整脈、心不全)がある。
症候性のものでは、小脳失調(小脳失調を伴うX連鎖性鉄芽球性貧血)、代謝性アシドーシス、膵外分泌不全(Pearson症候群に伴う鉄芽球性貧血)、筋症、乳酸アシドーシス(ミトコンドリア筋症を伴う鉄芽球性貧血)インスリン依存性糖尿病、神経性難聴(チアミン反応性巨赤芽球性貧血)、がある。

診断方法

診断手引きはこちら

治療

・ピリドキシン投与:X連鎖性鉄芽球性貧血では半数以上で反応する。
・チアミン投与:チアミン反応性巨赤芽球性貧血で反応する。
・鉄キレート療法:鉄過剰症に対して行う。
・輸血療法:必要に応じて施行する。
・造血細胞移植:特発性のみならず、少数ではあるが先天性のものに対しても施行された報告がある。
・外因の除去:二次性の場合

予後

極めて稀な疾患のため、疫学、病態解析に関してまとまった報告がなく、不明である。

参考文献

・ 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業. 特発性造血障害に関する調査研究班. 特発性造血障害疾患の. 診療の参照ガイド. 平成22年度改訂版. 平成23(2011)年3月 www.jichi.ac.jp/zoketsushogaihan/all.pdf
・ 張替秀郎. 遺伝性鉄芽球性貧血の病態と診断. 日小血会誌 2011;25:118-122, 2011.
・ Bergmann AK, Campagne DR, McLoughlin EM, Agarwal S, Fleming MD, Bottomley SS, et al. Systemic molecular genetic analysis of congenital sideroblastic anemia: evidence for genetic heterogeneity and identification of novel mutations. Pediatr Blood Cancer. 2010; 54:271-278.

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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