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たんさあしるこえーだっすいそこうそけっそんしょう
短鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症Short-chain acyl-CoA dehydrogenase (SCAD) deficiency

小児慢性疾患分類

疾患群8
先天性代謝異常
大分類3
脂肪酸代謝異常症
細分類46
短鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症

病気・治療解説

概要

細胞内に取り込まれた長鎖脂肪酸は、ミトコンドリア内で脂肪酸の炭素長に応じた各脱水素酵素で順次代謝され、1ステップごとに炭素鎖が2個ずつ短くなってアセチルCoAに至り、エネルギー産生に寄与している。
短鎖アシルCoA脱水素酵素(SCAD)欠損症は、アシルCoAの中でも短鎖アシルCoAのβ酸化を触媒するSCADの欠損である。血中ブチリルカルニチン(C4カルニチン)と尿中エチルマロン酸の増加が特徴である。新生児期〜乳児期に代謝性アシドーシスと筋緊張低下で急性発症した本疾患患児のSCAD残存酵素活性は40〜60%であることが知られており、この酵素活性低下単独で急性発症するのではなく、SCAD蛋白のミスフォールディングの影響、他の遺伝因子や環境因子が関与している可能性などが指摘されている。
一方でタンデムマスを用いた新生児マススクリーニングで発見された症例では、酵素活性の低下や遺伝子異常を認めても大部分が無症状で経過するため、わが国ではタンデムマスを用いた新生児マススクリーニングの対象疾患とはされていない。

疫学

常染色体劣性遺伝疾患で、欧米白人では3〜30万人に1人の頻度で発見されているが、わが国での頻度は不明である。

症状

発達遅滞、言葉の遅れ、筋緊張低下、成長障害、哺乳障害、けいれん、外表奇形、低血糖性脳症、小頭症、視神経萎縮、筋緊張亢進、傾眠などが報告されているが、一方で、新生児マススクリーニングで発見された本疾病患児は、まれに言葉の後れや学習障害がみられた例があるものの、大多数が無症状であった。SCAD活性の低下のみで前者の症状を説明できず、他の遺伝因子、環境因子との組み合わせで発症する可能性がある。

診断

『診断の手引き』参照

治療

本疾病に特化した治療法はなく、基本的に治療を必要としない。発症をきたす環境因子として母体のHELLP症候群や胎児仮死といった周産期合併症を背景として、低血糖や高アンモニア血症による中枢神経障害をきたすのではないかと指摘されており、適切な新生児管理が重要である。

予後

無症状で経過する症例がほとんどであり、新生児期、乳児期に急性発症しても、その後症状が改善し、無症状となっている患者が少なくない。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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