おうもんきんにくしゅ横紋筋肉腫Rhabdomyosarcoma
小児慢性疾患分類
- 疾患群1
- 悪性新生物群
- 大分類5
- 固形腫瘍(中枢神経系腫瘍を除く。)
- 細分類42
- 横紋筋肉腫
病気・治療解説
概念
将来骨格筋を形成する、あるいは、悪性転化後に骨格筋分化能を発現した胎児の中胚葉または間葉組織に由来する、骨格筋の形質を有する悪性腫瘍である。
疫学
0-14歳に発症する小児がんの約3.5%1)、15-19歳に発症するがんの約2%2)を占める。軟部悪性腫瘍としては小児で最も多い。日本では、年間50-100例の小児例が発症している。
症状
全身のどこからでも発生するが、泌尿生殖器、傍髄膜・眼窩を含む頭頸部、四肢が好発部位である。局所の腫脹、疼痛、腫瘍による圧迫症状を呈する。
診断
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治療
病理組織学的亜型(胞巣型あるいは胎児型)、治療前ステージ分類と手術後グループ分類により、リスク分類され、層別化された治療がおこなわれる3)4)5)。手術、放射線療法、化学療法の組み合わせが標準治療である。
手術については、初発時は、全摘除により機能や整容面が著しく損なわれる手術は推奨されない。一方で、局所再発の治療においては、可能な限り外科的切除を行うことにより予後の改善が期待される6)。
放射線感受性の高い腫瘍であるので、胎児型のGroup I症例を除いて、全症例に放射線療法が必要である3)。
化学療法については、ビンクリスチン、アクチノマイシンD、シクロホスファミドの三剤併用を行うVAC療法が長期成績の判明している標準療法である3)。低・中間リスク群では、シクロホスファミド減量、低リスクB群、中間リスク群ではイリノテカン導入が試みられているが、臨床試験として行われるべき治療である5)。また、高リスク群については、米国において、VAC療法にドキソルビシン、イホスファミド、エトポシド、イリノテカンを加えた多剤併用療法が行われ、1.5年無増悪生存率を著しく改善したものの、3年無増悪生存率は軽度の改善にしか至らなかった5)。新規治療法の導入による高リスク群の治療成績改善が望まれる。
予後
欧米や日本の横紋筋肉腫スタディグループの成績では、3年無増悪生存率が、低リスク群で80-100%、中間リスクで50-80%、高リスクで30-50%となっている4)。長期生存しえた症例において、長期合併症として、総投与量として8-9g/m2以上の高用量のシクロホスファミド投与を受けた場合、不妊について、また、放射線照射を受けた場合、局所の成長障害、二次がん、について、留意する必要がある。
参考文献
1) Gurney JG, Severson RK, Davis S, et al.: Incidence of cancer in children in the United States. Sex-, race-, and 1-year age-specific rates by histologic type. Cancer 1995;75 (8): 2186-95.
2) Ries LA, Kosary CL, Hankey BF, et al., eds.: SEER Cancer Statistics Review, 1973-1996. Bethesda, Md: National Cancer Institute, 1999.
3) Raney RB, Maurer HM, Anderson JR, et al. The Intergroup Rhabdomyosarcoma Study Group (IRSG): Major Lessons From the IRS-I Through IRS-IV Studies as Background for the Current IRS-V Treatment Protocols.
Sarcoma. 2001;5(1):9-15.
4) Arndt CA. Risk stratification of rhabdomyosarcoma: a moving target. Am Soc Clin Oncol Educ Book. 2013:415-9.
5) Hawkins DS, Spunt SL, Skapek SX; COG Soft Tissue Sarcoma Committee. Children’s Oncology Group’s 2013 blueprint for research: Soft tissue sarcomas. Pediatr Blood Cancer. 2013;60(6):1001-8.
6) Dantonello TM, Int-Veen C, Schuck A, et al. ; Cooperative Weichteilsarkom Studiengruppe.Survival following disease recurrence of primary localized alveolar rhabdomyosarcoma. Pediatr Blood Cancer. 2013;60(8):1267-73.
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
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