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じんむけいせい
腎無形成Renal aplasia

小児慢性疾患分類

疾患群2
慢性腎疾患
大分類17
腎奇形
細分類40
腎無形成

病気・治療解説

概要

腎の発生過程の何らかの要因により生じる,一側または両側の腎組織を認めないものをいう。片側無形成はおよそ出生1000に対し一人の割合で、気づかずに幼・少児期、さらに成人になっても知らずに過ごすこともある.

病因・病態

1. 一側腎無形性
片側の腎組織を認めないもので,出産1,000例,臨床500例にほぼ1例,男子,左に多い。患者家族は3.5~20%リスクが高く,一卵性双生児例もある。尿管と膀胱三角部が欠損するが,10~20%で盲端尿管と正常三角部をみる。本症の合併症は腎摘後単腎の2倍多く,水腎症66%,膀胱尿管逆流15~37%にみられ,8~12%は同側の副腎も欠損する。また、微小アルブミン尿21%,高血圧16%をみとめ,eGFR 60mL/min/1。73m2未満は10%にみとめる。
Poland’s syndrome(大胸筋欠損と同側手指の異常),Turner’s syndromeのほか,骨,心血管系,胃腸管系(鎖肛),呼吸器系の異常も多い。男子では1側の精巣,精管,精嚢の欠損,精嚢嚢胞,尿道下裂が10~15%,女子は50%に単角・双角子宮,膣,卵管,卵巣,子宮の欠損・低形成をみる。水・血子宮膣症はたびたび腎欠損を合併するので,単腎女児は生理発現期に注意が必要である。

2. 両側腎無発生
出産4,800に1例,男子に多い。尿道・膀胱・尿管は欠損か異形成が多く,副腎は多くは存在する。患児はPotter顔貌(眼間開離低く幅広い鼻,大きな低位耳介,内側眼角からの深い皺,下唇と下顎間の陥凹)と張りのない皮膚など老人様所見,内反手,内反足,肺の低形成を呈する(Potter’s syndrome)。これらは尿産生がないための羊水過少に起因し,胎児腎が産生するarginaseがarginineをornithineに変換,ornithineはprolineとなり,prolineが間葉組織と,肺の発達に必須である。

診断

超音波検査を主とした画像検査にて診断する。

予後

両側腎無形性では,半数が死産,残りも出生後に呼吸不全で死亡する。

参考文献

1) Glassberg KI, Stephens FD, Lebowitz RL, , et al. Renal dysgenesis and cystic disease of the kidney: a report of the Committee on Terminology, Nomenclature and Classification, Section on Urology, American Academy of Pediatrics. J Urol 138:1085-1092, 1987
2) Sanna-Cherchi S, Caridi G, Weng PL, et al. Genetic approaches to human renal agenesis/hypoplasia and dysplasia. Pediatr Nephrol 22:1675-1684, 2007
版:バージョン1.0

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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