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ひこうせいひふこつまくしょう
肥厚性皮膚骨膜症pachydermoperiostosis syndrome

指定難病165

肥厚性皮膚骨膜症
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病気・治療解説

概要

以下の3つの特徴をもつ病気です。
・(手足の指先が広くなる)太鼓ばち指
・長管骨(腕や脚の部分の細長い骨)の骨膜性骨肥厚(レントゲン撮影でみられる)
・皮膚肥厚性変化(脳回転状頭皮を含む)

罹患数

非常にまれな病気です。推定ですが全国で100人未満と考えられています。

疫学

圧倒的に男性に多く15:1といわれています。10代発症が多く年齢の幅は広く未成年から高齢者までおられます。

原因

患者さんの血液中や尿中にプロスタグランジンE2(PGE2)という物質の濃度が高くなっていることが明らかになっています。PGE2は発熱や骨吸収などに関係した働きがある物質で、健康な状態でも体のなかで働いている物質です。
PGE2が高くなる原因は2つの遺伝子の変化(遺伝子 変異 )が関係していることがわかっています。1つ目の遺伝子は、SLCO2A1という遺伝子で、PGE2を細胞内に運ぶ輸送蛋白に関連した遺伝子、もう一つはHPGD遺伝子で、PGE2を細胞内で分解する物質(水酸化プロスタグランジン脱水素 酵素 )に関連した遺伝子です。どちらの遺伝子の働きが低下・欠損してもプロスタグランジンが適正に分解されなくなり体内に過剰状態が生じることがこの病気の症状を起こすと言われていますが、詳細はまだわかっていません。

遺伝

SLCO2A1遺伝子、HPGD遺伝子のうち、どちらの遺伝子変異が原因でも、患者さんの家族内に本症が発症する(遺伝する)ことがあります。常染色体劣性遺伝形式と呼ばれるもので、親戚に同じ病気のひとがいなくても突然患者さんがあらわれることがあります。さらに本症独特に知られていることとして、女性の同胞(きょうだい)では発症する場合には、男性の患者さんよりも発症が遅い傾向にあるので注意が必要です。

症状

肥厚性皮膚骨膜症は1935年にTouraineにより病気の全体的な内容が明らかにされ、3つの型に分類されました。現在もこの分類が用いられています。
主に現れる症状は

皮膚肥厚
皮膚が厚くなりしわが深くなる。
主におでこ、頭皮(脳回転状頭皮)に現れます。

ばち状指
爪と骨が結合する部分の皮膚組織が増えて、指先がふくらみ、爪の付け根の角度がなくなった状態。

骨膜性骨肥厚
おもに長管骨(腕や脚の部分の細長い骨)の外側の硬い部分(骨皮質)が厚くなってしまった状態。

脳回転状頭皮
頭の皮膚が厚くなり、脳のようなシワが出来た状態。

肥厚性皮膚骨膜症はさまざまな合併症がみられるのが特徴です。
2011年、肥厚性皮膚骨膜症に関する研究班(分担研究課題:肥厚性皮膚骨膜症の全国 疫学調査 2次調査結果)により初の全国患者調査が実施されました。
研究班が作成した病気の症状に関する詳しいアンケートについて医療機関から43件の回答があり、そのうち重複例などを除いた33例について合併症の頻度が調査されました(括弧内=該当症例数 / 無回答を除いた総数 x 100%)。
<皮膚症状>
脂漏・油性光沢(69%)、ざ瘡(65.5%)、多汗症(34,5%)、脂漏性湿疹(16.7%)
<関節症状>
関節痛(51.7%)[運動時関節痛(30.3%)、安静時関節痛(9.1%)]、関節腫脹(42.4%)、関節水腫(24.2%)、関節の熱感(9.1%)、骨折歴(6.3%)
<その他>
貧血(18.2%)、発熱(15.6%)、胃・十二指腸潰瘍(9.4%)、低カリウム血症(9.1%)、自律神経症状(9.1%)、 易疲労性 (6.1%)などです。

治療法

肥厚性皮膚骨膜症は、対症療法が試みられています。
関節症状には一時期コルヒチンという薬剤が用いられていましたが、効果は十分ではありませんでした。最近では骨の吸収に作用するビスホスホネートという薬の内服や、関節滑膜除去術などの手術が試みられているケースもあります。顔面皮膚皺壁(ひだ状になった顔面の皮膚)、眼瞼下垂(瞼が下がったり開きづらくなる状態)や脳回転状頭皮には形成外科的なアプローチが試みられています。
今のところ発症を遅らせるような治療法はありません。

経過

肥厚性皮膚骨膜症の症状の出かたには3つの型があります。

【初期型】
皮膚肥厚のみ。骨膜性骨肥厚はほとんどみられない。
【不全型 incomplete form】
完全型から、脳回転状頭皮を除いた症状、すなわち皮膚肥厚、ばち状指、骨膜性骨肥厚がある。
【完全型 complete form】
皮膚肥厚、ばち状指、骨膜性骨肥厚、脳回転状頭皮などのすべての症状がある。

ここに挙げた順番に進行し、逆向することなく、最終型が完全型です。一人の患者さんで3つの病型が必ずきちんと区別できるわけではありません。

男性患者さんではおおむね10代前半からばち指がはじまります。初期型は気づかないことが多く、思春期を経て20歳までにたいてい不全型か完全型になるひとがほとんどです。不全型の期間には個人差があり、その原因のひとつは遺伝子変異の種類です(症状の進行が比較的遅い遺伝子変異があります)。

患者さんに知って欲しいこと

まだよくわかっていません。PGE2が過剰に産生されるような状況をなるべく避けることが望ましいと考えられます。現在PGE2が産生するきっかけとなるからだの変化として知られているのは、日光(紫外線)曝露、感冒罹患などです。

※難病情報センターhttp://www.nanbyou.or.jpより、許可をいただき掲載しております。