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フックス角膜内皮ジストロフィーFuchs endothelial corneal dystrophy

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA98974]

フックス角膜内皮ジストロフィー(Fuchs endothelial corneal dystrophy:FECD)は、角膜ジストロフィー(posterior corneal dystrophy)(この用語を参照)の最も頻度の高い病型であり、肥厚したデスメ膜上の増殖物(滴状角膜[corneal guttae])、角膜浮腫、緩徐に低下する視力を特徴とする。

病気・治療解説

疫学

正確な有病率は不明であるが、著しい地理的多様性が報告されている。FECDは米国では最も有病率の高い角膜ジストロフィーであるが、サウジアラビアおよびシンガポール系中国人でみられることは比較的まれで、日本では非常にまれである。

臨床像

この病態は女性により多く(男女比1:3~4)、より重症である。FECDの患者は初期には無症状である。発症時期は一般に40歳台から50歳台である。角膜びらんの不快かつ有痛性のエピソードが繰り返し発生し、緩徐な混濁を伴い霧視に至る。やがて不快感は軽減するが、重度の視力低下や、高齢者では失明に至ることさえある。臨床経過はしばしば10~20年に及ぶ。この病態はしばしば白内障を合併する。細菌性角膜炎および角膜新生血管は極めてまれな合併症である。角膜実質浮腫は青灰色の曇りをデスメ膜前方に生じ、その後角膜実質全体が肥厚し、角膜の外観はすりガラス様になる。

病因

FECDの病因は不明であるが、遺伝因子と環境因子の相互作用に起因する、多様かつ複雑な遺伝性疾患のようである。FECDの一部の症例では特定の遺伝子に変異が報告されている。早期発症のまれな症例は、COL8A2遺伝子(1p34.2-p32.3)の変異と関連付けられている。SLC4A11遺伝子(20p12)のヘテロ接合変異が遅発型の一部のFECD症例で報告されている。ほかに、13番染色体(13pter-3q12.13)および18番染色体(18q21.2-q21.32)(TCF4)ならびにZEB1(10p11.22)にマッピングされている症例もある。

遺伝カウンセリング

FECD患者のほとんどは家族歴を欠くが、血縁者にときに滴状角膜がみられることがある。FECDは、不完全浸透の常染色体優性遺伝疾患として、同胞および2世代以上に影響を及ぼすことがあるが、単純な常染色体優性遺伝の形式をとる可能性は低い。

管理および治療

FECD患者のほとんどは、最終的に全層角膜移植または角膜後部を修復する手術(深層層状角膜移植[DLEK]、Descemet stripping endothelial keratoplasty[DSEK]またはDescemet stripping automated endothelial keratoplasty[DSAEK])を必要とする。角膜移植(全層角膜移植、DSEK、またはDSAEK)の施行後には、視力は顕著に回復する。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Dr Gordon KLINTWORTH
日本語翻訳版の監訳
西田 幸二(難治性疾患政策研究班「角膜難病の標準的診断法および治療法の確立を目指した調査研究」)、大家 義則(難治性疾患政策研究班「角膜難病の標準的診断法および治療法の確立を目指した調査研究」)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Fuchskakumakunaihihenseisho_JP_ja_PRO_ORPHA98974.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=EN&Expert=98974

最終更新日:2012年5月
翻訳日:2019年4月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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