げんきょくせいきょうひしょう限局性強皮症Localized scleroderma
小児慢性疾患分類
- 疾患群14
- 皮膚疾患
- 大分類10
- 限局性強皮症
- 細分類15
- 限局性強皮症
[Orpha番号:ORPHA90289]
限局性強皮症は、皮膚に限局する強皮症(この用語の情報を参照)の一病型であり、局面または線状皮疹の形成につながる皮膚の線維化を特徴とする。
病気・治療解説
疫学
有病率は約1~9/100,000と推定されている。
臨床像
女性に多く発生し(男女比1:4)、成人期より小児期に発症する可能性が高い。線維化を引き起こす限局性強皮症は、斑状強皮症(morphea)、汎発型限局性強皮症(generalized morphea)、線状強皮症(linear scleroderma)などのいくつかの病型に分類される。線状強皮症は小児期および青年期に発症する傾向がある一方、斑状強皮症は成人により多くみられる。ただし、同じ患者が両病型を併発することもある。まず、皮膚が硬化および乾燥した領域が手、上肢、顔面、または下肢に現れる。続いて、局面(斑状強皮症)または幅の広い線状皮疹(線状強皮症)が出現する。局面は円形または卵円形で、しばしば蒼白な領域が紅斑で縁取られた外観を呈する。幅の広い線状皮疹は主に顔面、喉、上肢、および下肢に現れる。顔面が侵された症例では、前額部に現れた線状皮疹に陥凹が生じて、剣創状(en coup de sabre)と呼ばれる外観を呈することがある。線状強皮症は下床の脂肪および筋を侵す傾向があり、筋萎縮に至ることもある。限局性強皮症は成長に影響を与えるため、顔面または四肢の顕著な非対称性、屈曲拘縮、および身体障害に至ることがある。レイノー現象は通常みられない。
病因
限局性強皮症の正確な原因は不明である。本疾患は、コラーゲンの限局的な産生過剰をもたらす自己免疫反応に由来する。ほかの原因として遺伝および感染を介した機序も提唱されている。
診断方法
診断は臨床データに基づいて行う。皮膚生検でコラーゲンの異常蓄積、血管壁の肥厚、および血管周囲への白血球浸潤を明らかにすることが、診断確定に役立つ可能性がある。血液検査では通常、正常となる。
鑑別診断
鑑別診断としては、好酸球性筋膜炎(この用語を参照)などがある。
管理および治療
管理は対症療法により行い、具体的には斑状強皮症の病変に対するコルチコイドと線状強皮症に対する免疫抑制薬の使用などがある。皮下硬結と筋の異常収縮の抑制に理学療法が役立つ場合がある。
予後
予後は通常良好である。限局性強皮症が生命を脅かすことはまれであるが、QOLに大きな影響を与える可能性がある(特に小児の場合)。線状病変は局面病変より長期間持続する傾向がある。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Pr Eric HACHULLA
日本語翻訳版の監訳
尹 浩信(難治性疾患政策研究班「強皮症・皮膚線維化疾患の診断基準・重症度分類・診療ガイドラインに関する研究」)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Genkyokuseikyohisho_JP_ja_PRO_ORPHA90289.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=EN&Expert=90289
最終更新日:2010年7月
翻訳日:2019年3月
本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。
※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。
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