ひしょうこうぐんせいいでんせいなんちょう非症候群性遺伝性難聴Non-syndromic genetic deafness
小児慢性疾患分類
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[Orpha番号:ORPHA87884]
難聴は最も頻度の高い感覚器の障害である。大多数の症例では、難聴が唯一の症状であるため非症候群性難聴と呼ばれる。先進国では、早期発症の難聴の約60~80%が遺伝子に関与している。
病気・治療解説
疫学
1,000人に1人から700人に1人の頻度で先天性の重度または高度の難聴がみられる。
臨床像
出生時からみられる症例の大部分が、感音性(音を受容する内耳に関連した異常)であり、伝音性(中耳[鼓膜および耳小骨]と外耳の間での音の増幅に関連する異常)ではない。常染色体優性遺伝形式をとる難聴は、非常に早期の発症と様々な重症度(軽度から重度まで)の両側難聴を呈する。内耳の奇形はCTでは検出できない。小児難聴症例の7%がPDS遺伝子変異を伴っている。それらの症例は、常染色体劣性遺伝形式をとり、早期発症かつ通常は両側性(ただしときに非対称性)の難聴を特徴とする。この難聴は、CTで同定できる内耳奇形を伴っている。まれに甲状腺疾患もみられることがある。常染色体優性遺伝形式をとる難聴の中に、COCH遺伝子変異による難聴があり、回転性めまいと耳鳴を伴う進行性の言語習得後難聴を呈する。この病型の難聴は、メニエール病(Meniere disease)(この用語を参照)と鑑別が必要である。WFS1遺伝子変異は常染色体優性遺伝形式をとる難聴患者の中に見出され、大部分の患者では低周波数帯域が障害される難聴を呈するが、まれに視神経萎縮を伴う難聴を引き起こす。
病因
現在までに、感音難聴の原因遺伝子として86の遺伝子が同定され、局在が確認されており、そのうち37の遺伝子がクローニングされている。それらのうち11の遺伝子は、非症候群性難聴と症候群性難聴の両方の表現型をとることが報告されている。コネキシン26をコードするGJB2遺伝子は、小児期にみられる感音難聴の最も多い原因である。
診断方法
難聴は聴力検査により評価でき、軽度(20~40 dBの障害)、中等度(41~70 dBの障害)、高度(71~90 dBの障害)、重度(91~120 dBの障害)、ろう(120 dBを超える領域の障害)に分類される。
遺伝カウンセリング
難聴は85%の症例で常染色体劣性遺伝形式をとる(DFNB型)。常染色体優性遺伝形式をとるものは、全症例の10~15%を占め(DFNA型)、1%のみがX連鎖性遺伝形式をとる(DFN型)。
管理および治療
管理は集学的に行うべきである(小児科医、総合診療医、耳鼻咽喉科医、言語療法士,補聴器技能者を含む)。補聴器および人工内耳は難聴を改善するための唯一の選択肢であるが、一部の病型の伝音難聴にはときに外科的治療が提案される。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Dr Sandrine MARLIN
日本語翻訳版の監訳
宇佐美 真一(難治性疾患政策研究班「難治性聴覚障害に関する調査研究」)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Hishokogunseiidenseinancho_JP_ja_PRO_ORPHA87884.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=EN&Expert=87884
最終更新日:2007年7月
翻訳日:2019年4月
本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。
※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。
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