しるばー-らっせるしょうこうぐんシルバー-ラッセル症候群Silver-Russell syndrome
小児慢性疾患分類
- 疾患群-
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- 大分類-
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- 細分類-
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[Orpha番号:ORPHA813]
まれなインプリンティング異常症であり、胎児発育制限を特徴とし、追いつき成長がみられず、摂食障害および形態異常を伴う。
病気・治療解説
疫学
シルバー-ラッセル症候群(SRS)の発生率は約16,000人に1人と推定されている。
臨床像
診断には臨床診断基準であるNetchine-Harbison臨床スコアリングシステムが用いられる。以下の項目のうち少なくとも4つに該当する場合はSRSが疑われる: a) 在胎期間に対して小さく生まれること(在胎期間に対して出生時体重および/または出生時身長が-2 標準偏差スコア(SDS)以下); b) 出生時の相対的大頭症(出生時体重および/または出生時身長SDSに対して頭囲が1.5 SDS以上上回る); c) 出生後の発育不全(24 ± 1 か月時点での身長が -2 SDS以下および/または両親平均身長に基づく目標身長に対して身長が-2 SDS以下); d) 前額部の突出(幼児期(1~3歳)において、側面観で前額部が顔面平面を超えて前方に突出していること); e) 身体の非対称(脚長差(LLD)が0.5 cm以上、腕の非対称またはLLDが0.5 cm未満でも他の身体部位に少なくとも2か所(1か所は顔以外)の非対称が認められること);f) 摂食困難および/または低BMI(24か月時点でBMIが-2 SDS以下、経管栄養を使用中または食欲増進のためにシプロヘプタジンを使用していること)。第5指の斜指も頻繁に報告されている。胃食道逆流症および便秘は一般的である。言語および/または運動遅延、筋緊張低下も報告されている。患者はまた、小児期に低血糖、早発性進行性アドレナーキ、中枢性思春期早発症、インスリン抵抗性を呈する。
病因
最も一般的な機序は、染色体11p15のIGF2/H19 : intergenic differentially methylated region(IG-DMR)におけるメチル化の欠如であり、患者の約60%で認められる。7番染色体母性片親性ダイソミー(upd(7)mat)は、患者の約10%で認められる。テンプル症候群と臨床的にオーバーラップするため、染色体14q32の異常も頻繁に認められる。IGF2 、HMGA2、CDKN1C、またはPLAG1遺伝子におけるまれな遺伝子異常も報告されているが、臨床スコアが陽性の患者の約40%では分子病因が未だ不明のままである。
診断方法
第一選択の分子診断は、IGF2/H19 :IG-DMRのメチル化解析およびゲノムアレイを用いたupd(7)matの検出に基づいて行われる。14番染色体異常や稀な遺伝子異常は、分子的な代替診断として検討されるべきである。メチル化異常はモザイク状に発生するため、次に行うべき組織評価として皮膚生検が提案されうる。
鑑別診断
鑑別診断は頭囲によって分類することができる。相対的大頭症の場合、3M症候群、SHORT症候群、フローティング・ハーバー症候群またはIMAGe症候群が鑑別診断として挙げられる。一方、小頭症の場合、IGF1R遺伝子欠損、ブルーム症候群、ナイミーヘン染色体不安定症候群またはマイヤー・ゴーリン症候群が鑑別診断として挙げられる。
出生前診断
胎児の発育遅延は、妊娠中の超音波検査で観察可能である。SRSの一部のまれな遺伝的原因については、出生前および着床前遺伝子検査が利用可能であるが、メチル化解析は信頼性が低く、臨床転帰予測を目的として実施することは推奨されていない。
遺伝カウンセリング
ほとんどのケースで、兄弟姉妹における再発リスクは全体的に低い(11p15異常の場合)。しかし、遺伝子異常を伴う一部の家族性症例では、再発リスクが高くなる場合がある。
管理および治療
管理には専門施設における多職種アプローチが必要である。専門的なガイドラインが利用可能である。低血糖、栄養状態、思春期の諸側面には注意深くモニタリングする必要がある。これらの患者では、遺伝子組み換えヒト成長ホルモン療法によって最終身長と身体組成を改善することができる。
予後
長期にわたる研究はほとんど行われていない。SRSは、成人期におけるメタボリックシンドローム、肥満、心血管疾患のリスク増加と関連している。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Pr Annick TOUTAIN
Dr Eloïse GIABICANI
Pr Irène NETCHINE
Dr Amélie PERRIERE
日本語翻訳版の監訳
小崎 健次郎(難治性疾患政策研究班「先天異常症候群領域の指定難病等のQOLの向上を目指す包括的研究」)
藤田 靖之(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)
日本語版URL
https://www.orpha.net/pdfs/data/patho/Pro/other/Silver-Russell_JP_ja_PRO_ORPHA813.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/813
最終更新日:2024年9月
翻訳日:2025年11月
本要約の翻訳は、未診断疾患イニシアチブ(IRUD) 臨床専門分科会に所属される専門医や、その他の希少疾患専門医のご協力の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控え ください。
※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異な る場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。
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