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にゅうじなんちせいげりしょう
乳児難治性下痢症Intractable diarrhea of infancy

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA73014]

乳児難治性下痢症(intractable diarrhea of infancy:IDI)は、異なる病因によるいくつかの疾患を包含する多様な症候群である。絨毛萎縮と免疫組織学的基準に基づくIDIの暫定的な分類によると、IDIには明らかに異なる2つのグループがある:1)免疫介在性:粘膜固有層への単核球浸潤を特徴とし、T細胞の活性化に関連すると考えられるもの、2)第2の組織学的パターンとしては、絨毛萎縮がみられ、粘膜固有層への単核球浸潤はあっても少量であるが、上皮に特異的な組織学的異常を認めることを特徴とする早期発症の重症難治性下痢などがある。

病気・治療解説

臨床像

自己免疫性腸症は、その遺伝的特徴と病態生理および臨床像に基づき、次の3つの病型に分類される:自己免疫性腸症1型(自己免疫性腸症の古典型であり、いわゆるIPEX[immune dysregulation-polyendocrinopathy-enteropathy-X-linked]症候群と同一)、自己免疫性腸症2型(腸管外症候を伴わないもの)、および自己免疫性腸症3型(女児に発症するもの)。微絨毛封入体病(microvillus inclusion disease:MVID)およびintestinal epithelial dysplasia(IED、tufting enteropathyとも呼ばれる)は、絨毛萎縮を呈する先天性腸症であり、小腸上皮細胞の異常が関係したものと考えられている。他の2つのグループとは異なった形で考えるべきIDIのもう一つの病型に、「phenotypic diarrhea」または「syndromatic diarrhea」と呼ばれるものがある。この病型のIDIでは、腸管安静では軽快しない早期発症の重症下痢、非特異的な絨毛萎縮、および非常に特徴的な消化管外症候(顔面および毛髪の形態異常)がみられる。

診断方法

IDIは発症状況、臨床像、および合併症から容易に臨床診断できる場合がある。病理組織学的検査により診断が確定される。

予後

IDIの乳児は、消化管から多くの栄養が喪失することによる永続的な腸管不全のため、月単位または年単位の期間、あるいはほとんどの症例で生涯にわたって経静脈栄養を余儀なくされる。長期の経静脈栄養は種々の合併症やQOL低下につながるため、腸管移植などの別の治療法を考慮しなければならない。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Pr Olivier GOULET
日本語翻訳版の監訳
虫明 聡太郎(難治性疾患政策研究班「小児期から移行期・成人期を包括する希少難治性慢性消化器疾患の医療政策に関する研究」)
日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Nyujinanchiseigerisho_JP_ja_PRO_ORPHA73014.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=EN&Expert=73014

最終更新日:2006年3月
翻訳日:2019年3月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、診断(出生前診断・着床前診断を含む)・治療・遺伝カウンセリング等に関する内容が日本の現状と合っていない場合や国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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