ちゅうせいしぼうちくせきしんきんけっかんしょう中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy
小児慢性疾患分類
- 疾患群-
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- 大分類-
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- 細分類-
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[Orpha番号:ORPHA692305]
長鎖トリグリセリド (LCTG) の細胞内脂肪分解障害を特徴とし、心不全およびびまん性動脈硬化を引き起こすまれな心血管疾患である。
病気・治療解説
疫学
これまでに、日本国内では991例が臨床的に診断されている。そのうち15例は原発性TGCVであり、残りは特発性TGCVである。他国での有病率は不明であるが、本疾患は過少診断されている可能性が高い。
臨床像
本疾患は、主に心筋細胞および血管平滑筋細胞における長鎖トリグリセリド(LCTG)の細胞内脂肪分解障害を特徴とする成人発症の心血管疾患である。患者は心不全、冠動脈疾患、心室性不整脈等を呈し、突然心臓死または心肺停止のリスクがある。患者は通常、呼吸困難、全身倦怠感、安静時および労作時の狭心症、動悸などの症状を訴えるが、これらはしばしばコレステロール低下療法や冠動脈血行再建術といった従来の治療に対して抵抗性を示す。
病因
原発性TGCVは、脂肪トリグリセリドリパーゼ(ATGL)をコードするPNPLA2遺伝子(11p15.5)におけるホモ接合性変異によって生じる。大部分のTCGV症例において、遺伝的原因または背景は依然として未解明のままである。
診断方法
日本循環器学会より、以下の診断基準が公表されている。1) 必須項目には、心筋シンチグラフィーにおける[123I]-β-メチル-p-ヨードフェニルペンタデカン酸の洗い出し率の低下、および心筋生検標本、コンピュータ断層撮影(CT)、あるいは心臓磁気共鳴分光法(CMRS)における心筋への中性脂肪沈着が含まれる。2) 主要項目には、左室駆出率の低下、冠動脈のびまん性狭窄、および末梢血白血球における典型的なJordans’異常が含まれる。必須項目と主要項目の少なくとも1つずつを満たす場合に確定診断が可能である。注目すべきことに、血漿中性脂肪値や体格指数(BMI)は診断とは関連しない。
鑑別診断
鑑別診断には、拡張型・肥大型心筋症やミトコンドリア心筋症・糖尿病性心筋症等、代謝性心筋症を含む多くの心筋症および典型的Jordans’異常を呈する骨格筋ミオパチーを伴う中性脂質蓄積症や魚鱗癬を伴う中性脂質蓄積症が挙げられる。
遺伝カウンセリング
原発性TGCVの罹患家族には、常染色体潜性(劣性)遺伝形式について説明しながら遺伝カウンセリングを推奨すべきである。両親がともにPNPLA2遺伝子変異のヘテロ接合性保因者である場合、妊娠ごとに罹患児が生まれるリスクは25%である。
管理および治療
通常、TGCVは現在の薬物療法および冠動脈インターベンションに抵抗性を示す。中鎖トリグリセリドの一種であるトリカプリン補充療法を受けたTGCV患者の長期生存率が、レジストリ研究で報告されている。
予後
レジストリ研究から得られた現在の累積5年生存率は71.8%である。心血管イベントフリー生存率は54%である。
翻訳情報
専門家による英語原文の校閲
Pr Ken-ichi HIRANO
Dr Hideyuki MIYAUCHI
日本語翻訳版の監訳
平野 賢一(大阪大学 大学院医学系研究科 中性脂肪学共同研究講座 特任教授(常勤))
日本語版URL
https://www.orpha.net/pdfs/data/patho/Pro/other/Triglyceride_deposit_cardiomyovasculopathy_JP_ja_PRO_ORPHA692305.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/692305
最終更新日:2025年4月
翻訳日:2025年8月
本要約の翻訳は、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)臨床専門分科会に所属される専門医や、その他の希少疾患専門医のご協力の下で行われています。
注意事項
※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。
※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。