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KLHL7かんれんしっかん
KLHL7関連疾患KLHL7-related disorder

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA603699]

KLHL7の両アレルバリアントと関連する一連の多発性先天異常症候群であり、その表現型はボーリング-オピッツ症候群(BOS)と一部重複するものから、Crisponi/寒冷誘発性発汗症候群(CS/CISS)と重複するものまであり、これら両方の病態の特徴がみられる患者もある。

病気・治療解説

疫学

KLHL7関連疾患の有病率は不明で、文献ではこれまでに16例が報告されている。

臨床像

KLHL7関連疾患は3つの表現型から構成される。KLHL7関連BOS様症候群は、BOSのいくつかの典型的な臨床的特徴、すなわち子宮内発育遅滞、顔面形態異常、小頭症、重度の哺乳/摂食困難、関節拘縮、知的障害、BOS様の上肢肢位などを呈することを特徴とする。それに対し、三角頭、眉毛叢生、高度近視、および周期的嘔吐の報告はとてもまれである。KLHL7関連CS/CISS様症候群は、CS/CISSのいくつかの典型的な臨床的特徴、すなわち生後数カ月間の高体温、形態異常、哺乳/摂食困難、呼吸困難、中咽頭筋の収縮、屈指を伴う関節拘縮、および早期発症の網膜色素変性を特徴とするが、寒冷で誘発される発汗はみられない。CS/CISSとは対照的に、知的障害が報告される。第3の表現型であるKLHL7関連BOS様CS/CISS様症候群では、上記の2つの表現型の特徴が重複してみられる。

病因

KLHL7関連疾患は、KLHL7(7p15.3)の両アレル病原性バリアントに起因する。KLHL7は蛋白質間相互作用を媒介する役割を果たしている。

診断方法

臨床診断は、KLHL7の配列決定により、または同遺伝子を含めた知的障害に関連する次世代シーケンシングパネルによって確定できる。配列決定で陰性と判定された場合には、マルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅法(multiplex ligation-dependent probe amplification:MLPA)でKLHL7を評価することができる。

鑑別診断

KLHL7関連BOS様症候群といくつかの特徴を共有する(ただしBOSの姿勢はみられない)遺伝性疾患として、C症候群、Shashi-Pena症候群、Bainbridge-Ropers症候群、およびコルネリア・デランゲ症候群がある。KLHL7関連CS/CISS様症候群といくつかの特徴を共有する遺伝性疾患として、Stüve-Wiedemann症候群、遠位関節拘縮症2A型および2B型、congenital limbs-face contractures-hypotonia-developmental delay(CLIFAHDD)症候群がある。

出生前診断

遺伝リスクおよび生殖の選択肢について話し合うため、患児の親に出生前遺伝カウンセリングを勧めるべきである。

遺伝カウンセリング

KLHL7関連疾患は常染色体潜性(劣性)遺伝形式で遺伝する。妊娠のたびに25%の再発リスクがあるため、リスクのある全てのカップルに遺伝カウンセリングを勧めるべきである。

管理および治療

管理には早期からの集学的アプローチを必要とし、主に哺乳/摂食の問題と体温調節異常に重点を置く。痙攣発作は薬剤に反応する。

予後

患者数が少ないため、予後を正確に決定づけることはできない。上記の各表現型に共通して乳児死亡率が高い。知的障害は重度から著明なものまである。乳児期を生き延びた患者では、哺乳/摂食困難および繰り返す感染症における重症度が低下していく。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Dr Stefania BIGONI
Dr Marianna FARNÈ
Pr Alessandra FERLINI

日本語翻訳版の監訳
小崎 健次郎(IRUD臨床専門分科会 小児科(先天異常)チーフ/慶應義塾大学医学部臨床遺伝学センター 教授)

日本語版URL
http://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/KLHL7-related_disorder_JP_ja_PRO_ORPHA603699.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=en&Expert=603699

最終更新日:2022年6月
翻訳日:2023年3月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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